NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「まんぷく」のあらすじ、物語の大筋をまとめます。
「まんぷく」は「インスタントラーメン(チキンラーメン、カップヌードル)」を発明した起業家・安藤百福夫妻をモデルとした物語です。
日清食品創業者夫妻がモデル
「まんぷく」は、失敗を繰り返し七転八倒の末に世界初の「インスタントラーメン」を生み出すことに成功する起業家夫婦の物語です。
実在の起業家で日清食品の創業者である安藤百福・仁子夫妻をヒロイン夫妻のモデルとし、大胆にストーリーを脚色、再構成した上で描かれる夫婦の一代記です。妻である安藤仁子氏に関する詳しい資料は少なく、ヒロイン・福子の人物設定等はフィクションの要素が多く取り入れられます。
▼日本人なら一度は読んでおきたい、安藤百福氏の七転八倒の人生を綴った一冊。身近に死を感じる戦争を経験した世代は、少しの失敗など笑ってやり過ごすような「強さ」がありました。
三人姉妹の末っ子・福子 運命の人と出会う
大正9年に三人姉妹の末っ子として大阪で生まれたヒロイン・今井福子(安藤サクラ)は、早くに父を亡くし貧しいながらも、母や二人の姉らから愛情を受けて、大らかに育っていきます。
福子は長姉・咲(内田有紀)の経済的な助けもあり女学校を卒業しています。福子はこの女学校で親友となる鹿野敏子(松井玲奈)、池上ハナ(呉城久美)らと出会い、学生時代を謳歌しました。
やがて女学校を卒業した福子は家計を支えるためにホテルの電話交換手として働き始めるのですが、この仕事がきっかけで「運命の人」である事業家・立花萬平(長谷川博己)と出会います。
七転び八起きの事業家・立花萬平
立花萬平は、早くに両親を亡くし各地を転々としながら育った身。抜群の発想力と行動力を持ち、若くして会社「たちばな工房」(後に加地谷と共同経営で「理創工作社」となる)を立ち上げて事業を興していました。
やがて誠実な萬平の人柄に惹かれた福子は、心配性の母・鈴の反対を受けながらも萬平と結婚します。しかし鈴の心配が的中したのか、既存の枠にとらわれない発想で事業を進める夫・萬平の行動に、福子は振り回されっぱなしの日々を過ごすことになります(とはいえ、萬平の人柄、才能に惚れ込んでいる福子はそうした激動の日々を楽しみながら過ごすことになります)。
幻灯機、根菜切断機の開発、航空機エンジン部品の製造、製塩業、栄養食品(ダネイホン)の開発、信用金庫の理事長…。バイタリティあふれる萬平は、戦中から戦後、高度経済成長期にかけて「世のため人のため」という理想を胸に、次々に新しい事業に挑戦していきます。
しかし、事業で成功を収めたかと思えば、憲兵に資材の横流しを疑われて拷問を受けたり、GHQに目をつけられて逮捕(史実では脱税の疑いで4年の重労働の刑を課せられている)されたりと、トラブルにたびたび巻き込まれていきます。ほかにも戦災で事業のすべてを失ったり、金融事業に関わった末にその事業が立ち行かなくなり大損害を被るなど、何度もどん底へと突き落とされる経験をしていきます。
それでもめげない萬平は、無一文となった47歳の春に、ついに世界の食文化に大きなイノベーションを巻き起こす「世紀の大発明=即席ラーメンの開発」に着手することになり…。
▼萬平の事業家としての奮闘ぶりは、おおむね安藤百福氏の足跡はモデルになっています。
・【朝ドラ・まんぷく】立花萬平モデル 安藤百福が手がけた数々の事業とは 失敗と挫折の歴史
「まんぷく」では、何度も失敗しては立ち上がる夫婦の姿が描かれます。結婚当初は末っ子気質が抜けずに頼りなかった福子も、やがて夫を支え、ついには夫を引っ張るまでに成長していくことになります。
また、萬平とともに七転八倒で事業を推進(時には裏切りも…)していくことになる仕事仲間たちの姿も楽しみです。
営業力が足りない萬平を共同経営者として補い、「理創工作社」の躍進に貢献する加地谷圭介(片岡愛之助)、萬平を「親友」と呼んで関わってくるものの、どこか詐欺師のにおいがする「世良商事」の世良勝夫(桐谷健太)、香田家に泥棒として入ったのちに意気投合して萬平の右腕となっていく神部茂(瀬戸康史)、製塩所で働く喧嘩っ早い青年・岡幸助(中尾明慶)…。
実直すぎる萬平にとって戦中戦後の魑魅魍魎が跋扈するビジネスの世界は厳しいものであり、敵か味方かわからない様々な人物が、才能豊かな萬平の周囲に集まってきます。
母、二人の姉、そして家族 戦後を生きる男たち
夫婦の事業の一代記とともに、ストーリーのもう一つの軸となりそうなのが、福子の家族である今井家の女四人の物語です。母、二人の姉はそれぞれ立場は違うものの、末っ子である福子を可愛く大切に思う気持ちは共通しています。
優しすぎる性格で、いつも自分よりも他人のことを優先させてしまう長姉・咲(内田有紀)。咲は真一(大谷亮平)と結婚すると結核を患い、若くして亡くなってしまいます。
福子の良き相談相手であり、家族ぐるみで福子夫婦を支えることになる気っ風のいい次姉・克子(松下奈緒)。口数が少ないながらも優しい心を持つ画家の夫・忠彦(要潤)や賑やかな子供達が、福子一家と長年に渡り交流していきます。
そして、武士の末裔であることに誇りを持ち、品格を大切にしながら娘たちを育ててきた母・鈴(松坂慶子)。
過度に心配性で保守的な母・鈴は、しばしば三姉妹の人生に干渉していくとともに、奔放な事業を展開していく萬平の行動が理解できずに強い不満を表明し続けます。娘を心配してのことなのか、単なるわがままなのか、鈴が日々繰り出す不平不満のオンパーレドにも注目です。
「向こう見ずな夫」と「口うるさいわがままな母」との板挟み状態にある福子は、子育てを同時進行で行いながら、妻として娘として社長夫人として、見事な立ち回り、マネージメント能力を見せていきます。
また、二人の姉の夫(真一、忠彦)も、福子と萬平にとって大切な存在になっていきます。
戦地で壮絶な体験をした後に帰還し、様々な思いを抱えながら「戦後」を生きていく真一と忠彦。一方で体が弱く出征すら出来ず引け目を感じている萬平。哀しい敗戦の後の、「戦後」を生きる男たちの生き様も見どころとなりそうです。
大注目の女優・安藤サクラ
ヒロインに抜擢された女優・安藤サクラは、父に俳優の奥田瑛二、母にエッセイストの安藤和津、姉に映画監督の安藤桃子を持つ芸能一家の生まれ。夫で俳優の柄本佑もNHK朝ドラ「あさが来た」(2015年)で眉山惣兵衛役を好演するなど、高い評価を得ています。
安藤サクラは、若くして「ヨコハマ映画祭 助演女優賞(愛のむきだし、愛と誠、その夜の侍)」、「日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞(百円の恋)」など多数の賞を受賞しているほか、先日のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した「万引き家族」における演技でも高い評価を獲得するなど、若手女優の中でも大きな注目を浴びています。長丁場となる朝ドラの撮影現場で安藤サクラがどのような演技を見せていくのか、楽しみです。