NHK連続テレビ小説「マッサン」は、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝と、その妻でスコットランド人女性のリタの人生をモデルとした人情喜劇です。
ドラマの放映に合わせて出版各社から竹鶴、リタに関する関連書籍が多数発売されており、書店でもどれを買っていいのか迷ってしまう方も多いと思います。
「ヒゲのウヰスキー誕生す」が読みやすくていいかも
この記事では、個人的におススメである新潮文庫の「ヒゲのウヰスキー誕生す」(川又一英・著)という著作を紹介します。全編にわたり平易で流麗な文章で綴られているので、読みやすい一冊です。
この本は主に竹鶴政孝の視点から、ウイスキーづくりに賭けた人生と様々な人との出会い、醸造の基本知識、リタとの出会いのエピソード、夫婦愛などが丁寧に描かれており、ドラマを楽しく見る副読本として最適だと思われます。
例えば冒頭。竹鶴が最初の就職先となった摂津酒造(ドラマでは住吉酒造として登場)への入社の経緯が描かれます。竹鶴は飛び込みで摂津酒造を訪れ、徴兵検査までの八ヶ月だけ働かせて欲しいと社長の阿部喜兵衛(ドラマでは西川きよし演じる田中大作社長)に懇願しています。
同著では、この時の社長と竹鶴の面接の会話が細かく描かれているのですが、恐らくドラマでは描かれる事が無いであろうこうした細かいやり取り、竹鶴の周囲の人々の描写、それに当時の日本の洋酒業界が置かれていた状況、ウイスキーの醸造技術の知識などがじっくりと記されています。
この本を読んでいけば、ドラマでは描ききれない足りない部分を十分に補足できるでしょう。
「マッサン」ではフィクションも多数か
ドラマ「マッサン」脚本家の羽原大介は「記録と取材に基づいたエピソードを重ねつつ、大胆なフィクションも交え、笑って泣けるエンターテイメントを目指す」と公言しており、史実とは異なる場面、人物も多く登場するものと思われます。
「ヒゲのウヰスキー誕生す」はリタとのエピソード、夫婦愛も描かれていますが、どちらかというと竹鶴視点で見た、生涯に渡って続くウイスキーとの格闘、仕事を通した様々な人々との出会いが中心となっています。
「ヒゲのウヰスキー誕生す」で「プロジェクトX」「情熱大陸」的にマッサンの仕事人生を補足しつつ、ドラマ「マッサン」で「夫婦愛」「人情喜劇」を楽しむと、一粒で二度美味しいお得感があるのではないでしょうか。
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