NHK連続テレビ小説「虎に翼」4月15日(月)放送の第11回より。この日の放送では、猪爪家に来ていた留学生・崔香淑が花江に対してまさかの大失言をしてしまい、平和なはずの猪爪家に不穏な空気が流れていきます。
ここのところため息が増えていた花江の本心とは…?
崔香淑の悪気ない失言「女中さん」
傍聴に水泳に法廷劇の創作にと忙しい学生生活を送っている寅子(伊藤沙莉)。毎月の重い生理痛に悩まされつつも充実した日々を送っている寅子とは対象的に、ここのところ猪爪家長男の妻・花江(森田望智)はため息が増えていました。
義母・はる(石田ゆり子)が望むような「理想のお嫁さん」になろうと自分を押し殺して家の仕事を頑張っている花江ですが、その心の内にはあるモヤモヤを抱えていたのです。
そんな花江の心を大きく傷つけてしまうのが、法廷劇の衣装作りのために猪爪家にやって来ていた明律大学女子部のメンバー、特に留学生・崔香淑(ハ・ヨンス)の悪意のない失言でした。
★寅子の自室に興味津々だった令嬢・桜川涼子を見た女子部メンバーの会話を引用★
梅子「珍しいですか?庶民の家は」
涼子「やだ、私ったら」
(一同がふふふと笑う)
寅子「どうぞ、いくらでも見て下さい(笑)」
香淑「トラちゃんの家は庶民の家じゃないでしょう?」
(花江がお茶菓子を持って部屋に入ってくる)
香淑「(お茶菓子を配る花江を見て)ほら、女中さんもいらっしゃるし」
花江「え?!」
梅子「女中さんがいる家なんて普通でしょ?」
寅子「あ、あ、違います。花江は兄のお嫁さんで私の義理の姉で…(慌てて訂正)」
花江「…」
香淑「ごめんなさい、私、失礼なことを…」
花江「…いいんです。私なんて女中みたいなものですから」
寅子「花江…何言ってるの…?」
(部屋を出ていってしまう花江)
さすがにまずいと思った寅子は、部屋を出ていった花江を追いかけて階下の台所に向かうと、一緒に衣装作りを手伝ってくれないかと花江に呼びかけます。
しかし花江は憮然とした様子で「無理よ。トラちゃんと違ってやることがたくさんあるんだから」とこれを拒否。
さらに寅子が先ほどの「私なんて女中みたいなもの」発言の真意を花江に問うと、花江は「トラちゃんにお嫁に来た人の気持なんてわからないわよ!」と吐き捨ててその場を去ってしまいます。しかし、この花江の発言をはるが聞いてしまい…。
花江の本心、悩みとは
これまで語られてこなかった、結婚後の花江の本心。その本音が第3週の後半にかけて語られていきそうです。
ある意味でしたたかに、ニッコニコの笑顔で「女の幸せ」を掴むことに邁進して来た花江。
しかし、寅子たち女子部の面々が仲間とともに生き生きと何かと「闘う」姿を見ていくうちに、「私はこの輪に入れない。私は闘わない女側の人間なんだって。それが辛くって」と疎外感を感じてしまうようです。
自分の道を信じて「お嫁さん業」を頑張ってきた花江ですが、いくら家事を頑張っても義母のはるに一切褒めてもらえない、家の事は完璧にやって当たり前、という日々に虚しさを感じていたようです(これが前述のため息の原因)。
「虎に翼」では、社会性を持って「闘い」に挑む寅子の姿が描かれていきますが、その合わせ鏡のように、毎日の単調な生活の中で必死に闘う花江の葛藤も描かれていきます。
もちろん大志を抱いて羽ばたいていく寅子の人生も立派ですが、花江が進む地に足のついた人生もまた、意義があるものであるはず。
花江という役柄には、寅子の姿だけでは描ききれない「女の人生」のアナザーサイドを演じてもらうという役割がありそうです。