NHK連続テレビ小説「虎に翼」の4月18日(第14回)の朝ドラ受けにおいて、博多大吉が「そろそろいい男が出てきて欲しい」と発言したことが話題になっています。
この記事では、博多大吉氏がまだ気がついていないであろう「虎に翼」の「いい男たち」をまとめます。物語序盤は男性全般への敵対目線が多く見られる「虎に翼」ですが、ヒロインたちが大学本科、社会人、そして戦争の時代へと歩みを進めていく中で、その対立構造にも変化が見られそうです。
博多大吉「そろそろいい男が出てきて欲しい」
4月18日(木)の「虎に翼」では、法廷劇「毒饅頭殺人事件」の創作に際して明律大学の学長(久保酎吉)が女性を見くびるような判例の改変を行っていたことが判明。
男性陣の女性蔑視行動が相次ぐ重苦しい展開のままこの日のドラマ放送が終了すると、直後の「あさイチ」冒頭では困惑の空気の中、MC陣による「朝ドラ受け」が行われています。
鈴木アナ「…ちょっとなんかモヤモヤする終わり方ですけど…」
博多大吉「てか、そろそろなんか、いい男出てきて欲しいなあ」
鈴木アナ「あ、そうですね、今のところね(笑)」
博多大吉「毎回この終わり方だと、私の謝罪から始まらないと(笑)。なんかごめんねって…(笑)」
「男」の立場として「虎に翼」を見届けることの心苦しさを吐露した博多大吉。
ネット上では「そういう逃げ方をしないできちんと(男として)内容を受け止めて欲しい」といった辛辣な苦言や、「直言さんとか優三さんとか、すでにいい男は出てきているはずだけど。大吉さんにはそう見えていないのかな…」といった声も見られました。
現時点ではポンコツに描かれがちな「虎に翼」劇中の男性陣ですが、ドラマの進展とともに「いい男」たちが寅子ら女性たちと手を取り合う展開がありそうです。以下、「虎に翼」において「いい男」と認定できそうなキャラクターたちを列挙してみます。
いい男①寅子の父・猪爪直言(岡部たかし)
寅子がポジティブな人格を形成するにあたり、もっとも影響を与えたであろう父・直言。少し頼りないところもありますが、昭和初期という時代を考えると極めて先進的な考えを持った人物として描かれています。
「女だから」と言って寅子の可能性を狭めるようなことはせず、きちんと寅子の才覚を見極めた上で人生の選択肢を広げる後押しをしてくれた直言。妻のはるに対しても深い愛情と意見の尊重を見せており、はるにとって直言は「いい男」に見えているはずです。
いい男②猪爪家の書生・佐田優三(仲野太賀)
猪爪家の書生・佐田優三は、いつも寅子のことを見守ってくれているお兄さんのような存在。誰に対しても偉ぶることなくフラットに接するその姿は、優三の人柄の良さをよくあらわしています。
多くの視聴者はもう気がついているかと思いますが、寅子のことを一番理解しているのは他でもない優三でしょう。結婚にまったく興味を持たない寅子が、ナイスガイである優三の真心に触れて心変わりするような展開があるかも知れません。
いい男③寅子の兄・猪爪直道(上川周作)
終始ズレた発言を繰り返す脳天気な兄として描かれてきた直道。しかし、第15回(4月19日放送)ではると花江の嫁姑問題に直面すると、100点満点とも言える立ち回りを見せ、一気にデキる男として評価を上昇させています。
実の母を立てつつも、自分は絶対的に花江の味方である…。堂々と妻への愛を宣言した直道の姿は「いい男」そのものでした。さすがに花江が一目惚れした相手なだけあります。
いい男④明律大学教授・穂高重親(小林薫)
寅子を法の世界に導いた恩師である、明律大学の教授・穂高重親。終始紳士的な振る舞いを見せ、女性が法律を学べていることをにこやかに喜ぶその姿は「いい男」と言えるでしょう。
法廷劇が小橋らによって妨害された際に、穂高教授がきちんと小橋を注意をしなかったこと(咳払いのみ)を疑問視する声もあるようです(第12回・4月16日放送)。ストーリーの流れとして、あそこで穂高教授が争いを止めてしまうと結局「男性教授の権威性」の下に女子部が庇護されているという図式が出来てしまいますから、あえてあのような描写にしたのかも知れません。
いい男⑤カフェー燈台のマスター(平山祐介)
行くあてが無かった山田よねを女給としてではなくボーイ(雑用係)として雇い、何かと目をかけてきた上野のカフェー燈台のマスター。
第14回(4月18日放送)では、カフェー内で女子部の面々が生理の話題を始めた際に、マスターが気まずそうに席を外そうとする場面がありました。それを見た梅子は「お気になさらず〜(意訳:逃げずにちゃんと聞いておけ)」と牽制をしていましたが、これは梅子がマスターのことを話がわかる良き人間(いい男)と認めているからこその発言でしょう。
いい男⑥明律大学学生・轟太一(戸塚純貴)
第4週から登場する、法学部のバンカラな男子学生・轟太一。自らの「男の生きざま」にこだわり、女とは一線を画そうとする暑苦しく古臭い轟ですが、その内面は非常に実直で真面目です。
当初は「男と女がわかりあえるはずがないだろ!」と発言して山田よねの激怒を誘発するものの、次第に轟の真っ直ぐな心根は女子部の面々の知るところになっていきそうです。
女子にやたらと優しい言葉を投げかける王子様系法学生・花岡悟と、言葉は荒々しいものの実直である体育会系男子・轟太一。どちらが本当の意味での「いい男」なのか、次第にその本性が明かされていきます。
今後登場しそうな「いい男」たち
寅子はやがて明律大学法学部を卒業し、高等試験 司法科試験(現在の司法試験)に挑戦。社会に羽ばたいていくとともに、戦争の辛い時代、戦後の復興の時代を経験していくことになります。
こうした日々の中で寅子は、弁護士修習生としてお世話になる弁護士・雲野六郎(塚地武雅)、裁判官を目指す寅子の実力を買ってくれる裁判官の久藤頼安(沢村一樹)、共に家庭裁判所の設立準備に邁進する上司・多岐川幸四郎(滝藤賢一)といったナイスガイと出会っていきます。
物語序盤は「男と女」という対立軸が多く描かれた「虎に翼」ですが、中盤から後半にかけては寅子が目指す理想の弁護士像の実現に向けて、男女に関わりなく多くの理解者、協力者が登場していきそうです。
また、「すべての男は敵」という状態だった山田よねも良き理解者を得る可能性があり、男女対立を乗り越えた先に目指すべき理想の未来が見えてくることになりそうです。