NHK連続テレビ小説「あさが来た」2015年12月24日(木)放送回より。
武田鉄矢演じる福沢諭吉が、あさ(波瑠)に対し女性の自主独立を説く、金八先生的な場面がありましたのでその内容をまとめます。
牛鍋屋で父、弟と再会、怒られる
弟・忠嗣(興津正太郎)との久しぶりの再会のため、牛鍋屋にやってきたあさ。娘・千代を家に置いたままでの東京見物であるため、父・忠興(升毅)には東京行きを伝えていなかったのですが、案の定、忠嗣のあとをつけて来た忠興にバレてしまいます。
「学問のすゝめ」を引用
相変わらずの調子で家庭を疎かにするあさに説教をする忠興でしたが、あさは愛読書である福沢諭吉の「学問のすゝめ」を引用し、忠興に反論します。
「そもそも世に生まれたる者は、男も人なり女も人なり」
あさは、この世は男と女両方からつくられるべき、これからの時代、女子(おなご)も勉強をして男と意見を交わし合うのもおかしいことではない、と店内中に聞こえる声で熱弁します。これを聞いてスイッチが入ってしまったのが、たまたま店に居合わせた福沢諭吉でした。
「おなごの社長になりなさい」金八風福沢諭吉のお言葉
諭吉は「そのとおり、ザッツライト!」と話に割って入ると、
「まさしく男女は身体の造り以外は平等一致」
「女もまた大いに学問をして、世のためになりたいと考えるのは必定!」
「いかなる身分の人間も自由と独立を妨げられてはいけない。婦人に対しても同じ!」
と持論をまくしたてます。
あさもこの援護射撃に我が意を得たり、といった気持ちでしたが、夫や家族に十分理解されていながら、それでも女子が自由闊達に生きる難しさを感じている自身の気持ちを諭吉にぶつけます。
これに対する諭吉の答えは、実に明解、そして前向きなものでした。
「婦人が自由に生きるためには、経済の自立をはかるべき」
「しっかりとした財産を持ち、世間に対し責任を持たなければならない」
「独立自尊 おおいに学びしっかり働いて、しっかり稼ぐ」
「そうだ、あなたはいつか、おなごの社長になりなさい」
結局あさたちはこの人物が福沢諭吉だと気が付いてはいなかったようですが、持論を金八先生風にまくしたてると、福沢諭吉は「日本にもやっと新しい女子が出て来たか」と満足そうに店を去っていくのでした。父・忠興もこの議論を機に、あさを男女関係なく「一人の商売人」として認めるようになります。
この出会いから七年後に福沢諭吉が刊行した「日本婦人論」は、その後の長きに渡り、あさの心の支えとなっていきます。