NHK連続テレビ小説「ひよっこ」第13週放送ではビートルズの来日を受けて、みね子の周囲も大騒ぎになっていきます。
このストーリーの中で、みね子はビートルズの公演チケットを手に入れるために「ダイアナ歯磨」なる商品を大量購入することになるのですが、このエピソードにはモデルとなった実在のメーカー、商品がありますので、まとめておきます。
宗男のために…「ダイアナ歯磨」大量購入
昭和41年(1966年)。イギリスのロックバンド・ビートルズの日本公演が決定すると、日本国内は大騒ぎになります。
この情報は奥茨城にいるビートルズ狂の叔父・宗男(峯田和伸)のもとにも到達。みね子(有村架純)は、大好きな叔父さんのために何か出来ることはないかと考え始めます。そんな時にみね子が知ったのが、歯磨き粉「ダイアナ歯磨」の購入者を対象とした、ビートルズ公演への無料招待キャンペーン(懸賞)でした。
みね子はさっそく「ダイアナ歯磨」を大量購入し、懸賞に応募することになるのですが…。
計5回公演 プラチナチケット
世界的な人気を誇っていたビートルズの初来日公演とあって、当然ながらチケットは争奪戦となります。みね子は何とかして宗男にビートルズの公演を見せてあげたいと考えますが、チケットはそう簡単に手に入るものではありません。
ビートルズの公演が行なわれたのは、昭和41年(1966年)の6月31日、7月1日、2日の三日間。計5回公演で、一回の公演での入場者は約1万人(つまり、三日間で計5万人)でした。
チケットの入手方法は?
史実によれば、チケットの販売方法は特殊なものでした。
窓口での販売は行なわず、①主催である読売新聞社に往復はがきで申し込み、抽選(約3万枚)②協賛、後援各社(ライオン歯磨、東芝音楽工業、日本航空)の応募要領に従って応募する(こちらも抽選。約2万枚?)③「ニュー・クリスティ・ミンストレルズ」や「フランス・ギャル」のコンサートに行き、会場内で売られていたビートルズライブのチケットを購入、といったような入手ルートがあったようです。
当然、読売新聞社やライオン歯磨の懸賞には応募が殺到。高倍率の抽選となりました。
「ライオン歯磨」の懸賞がモデル
▼公演プログラム、限定写真集、チケット、宣伝広告、テレビ中継用の台本などなど、図版多数でビートルズ来日の熱気がまとめられている良書。
「ひよっこ」で描かれる「ダイアナ歯磨」購入のエピソードは、この「ライオン歯磨(現在のライオン)」により行なわれた懸賞がモチーフになっていると思われます。
「ビートルズを観た 50年後のビートルズ・レポート」(音楽出版社)に掲載されている当時のライオン歯磨の懸賞広告(ビートルズを見よう!)によれば、同社の製品「ダイヤフッソ(歯磨き粉)」または「バン(制汗剤)」を購入し、その空き箱を送ることでこの懸賞にエントリーが出来、応募者の中から抽選で5,000名に「特別席招待券」を配布するというものでした。
※東芝音楽工業は、ビートルズのLP購入者の中から抽選で2,000名に入場券進呈。ほかにA賞「ビートルズ・トランプ(5,000名)」、B賞「ビートルズ写真集(30,000名)」などの副賞も。
▼この本はすごいです。ビートルズが乗った日航機乗務員、宿泊先のヒルトンホテルスタッフ、楽屋でお茶汲みをした女性、服を仕立てたテーラー、中継をした日本テレビ関係者など、実際にビートルズメンバーと生で関わった人々が当時の様子を細かく語り尽くしています。貴重なオフショットも。