NHK連続テレビ小説「ひよっこ」8月30日(水)放送回に登場した、さおり(米子)が提供したジュース「オイッシー」についてまとめます。
「オイッシー」は、昭和の時代に米屋で売られていたジュース「プラッシー」がモデルと思われますので、そちらの情報も簡単にまとめます。
米屋でのケンカの末に…昭和の定番ジュース
米屋の店頭で、ついに鉢合わせとなった時子(佐久間由衣)とさおり(伊藤沙莉)。三男を巡りお互いの言い分が真っ向からぶつかり合い、女のバトル(口喧嘩)が勃発します。そして言いたいことを言い合ったことでお互いにすっきりしたのか、さおりは時子、みね子に対し、「あー、ジュース飲む ?」と店に置いてあったジュースをすすめます。
この時登場したのが、ビン入り果汁飲料「オイッシー(OISSY)」でした。ケンカを経て糖分が不足したのか、さおり、時子、みね子はオイッシーを飲むと「おいしい」「おいっしー」と口にし、ようやく落ち着いて正気を取り戻すことになります。
懐かしい味 米屋の「プラッシー」
▼一番左がプラッシー。「オイッシー」のビンのデザインとそっくり。「マリンカ」(中)、「フレッシュサイダー」(右)も当時の武田薬品工業のお馴染みの商品。(画像はWikipediaから転載)
昭和の時代を生きた方であれば、すぐにピンと来たことでしょう。この「オイッシー」は、かつて米屋で飲むことが出来た果汁飲料「プラッシー(PLUSSY)」を模しているものと考えられます。
「プラッシー」は、昭和33年(1958年)から武田食品工業(現・ハウスウェルネスフーズ)により販売されていた果汁入り飲料で、特に米屋で売られる飲料として有名でした。
武田食品工業は母体が薬品会社であり、清涼飲料の販売ルートを持っていませんでした。そこで、かつては町中にたくさんあった米穀店に販売口をしぼり(自販機での販売もしていた)、米の宅配のついでに「プラッシー」を届けたり、店に米を買いにきた来客などを相手に「プラッシー」を販売していました。
「プラッシー」の名称は、ミカン入りの果汁飲料に「ビタミンCをプラス」したことに由来しています。このビタミンCが米に不足しがちな栄養成分だったこともあり、米を食べて、プラッシーを飲んで、栄養はバッチリ!という売り方をしていたわけです。
ジュースの選択肢が少ない昭和!
▼ビンのデザインが違うため「これじゃない感」がありますが(笑)、「プラッシー」は現在でも飲めます。味は当時と変わらない、優しく懐かしいもの。米屋ではなくAmazonで買えるというのが、時代の流れですね…。
筆者も1980年代に少年時代を過ごしており、当時、果汁ジュースといえばこの「プラッシー」か、コカコーラ社の「HI-C」(りんご、オレンジ)くらいしか選択肢がなかったように覚えています。
祖母に連れられ「プラッシー」を買うためにわざわざ米屋に入った記憶が今でも強く残っており、幼心に「プラッシー」はお米を使ったジュースだと勘違いしていました(笑)。
味としては、例えば法事の席で出てくるバヤリースのビンのオレンジジュースのような味(もう少し甘くて果汁分が薄かったかな?)で、子供がいかにも喜びそうな、優しい味だったのを覚えています。
その後、清涼飲料水の群雄割拠の時代が到来し、1980年代に「プラッシー」は一度製造中止になっています。しかし、根強いファンが多かったのでしょう、平成10年(1998年)にリニューアルされ、再度販売されるに至っています(今度は米屋だけではなく、一般的な販売方法もとる)。
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