NHK連続テレビ小説「あんぱん」でヒロインが生まれ育つ高知の「御免与町(ごめんよちょう)」についてまとめます。
御免与町は、漫画家のやなせたかしが少年時代を過ごした高知・後免町がモデルになっており、町にはやなせたかしの功績を今に伝えるモニュメントなどが点在します。
【あんぱん】ヒロイン・のぶが生まれ育った高知・御免与町

「あんぱん」のヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)は、大正時代に高知県長岡郡御免与町(ごめんよちょう)に3人姉妹の長女として生まれています。
生家は御免与町の商店街で「朝田石材店」を営んでおり、同じ商店街には「運命の人」となる柳井嵩(北村匠海)が移り住んでくる柳井医院があります。
物語前半では、この御免与町を舞台に「ハチキンおのぶ」「韋駄天おのぶ」と呼ばれる活発なのぶと、東京からやって来た内気な少年・嵩の物語が描かれていきます。
後述するように、御免与町は漫画家・やなせたかしが育った高知の後免町(ごめんちょう)がモデルになっています。
★御免与町の各施設のモデルは?
・のぶの生まれ故郷 高知県長岡郡御免与町…高知県長岡郡後免町(現在の高知県南国市)がモデル ※のぶのモデル・小松暢は大阪生まれ
・のぶと嵩が通う御免与尋常小学校…やなせたかしの母校・後免野田組合小学校(現在の南国市立後免野田小学校)がモデル ※ロケ地は茨城県大子町の旧上岡小学校
・最寄り駅の御免与駅…後免駅(JR四国、土佐くろしお鉄道)がモデル ※SL走行シーンは栃木県の真岡鉄道で撮影
・柳井医院…やなせたかしが引き取られた後免町・柳瀬医院がモデル
▼劇中に登場する、御免与町全景を望むイメージショットは、やなせたかしの父・清の故郷である香美の町並み(現在の香美市香北)と思われます。町の北側高台にある「有瀬の棚田」付近から物部川や香美の町並みを見下ろした俯瞰風景が、ドラマの御免与町全景と一致しています。
▼のぶが追いかけたSL(蒸気機関車)は、栃木県の真岡鉄道。
真岡鉄道の北真岡駅が全国2位に 「じゃらん」菜の花絶景ランキング 桜やSLとの競演が人気#下野新聞https://t.co/8yHOVFTkLT
— 下野新聞 (@shimotsuke_np) March 24, 2025
御免与町のモデルは後免町 やなせたかし少年が暮らした町
御免与町はドラマ上のフィクションの町ですが、柳井嵩のモデルになっている漫画家・やなせたかし(本名・柳瀬嵩)が育った高知県長岡郡後免町がモデルになっています。
東京府北豊島郡滝野川町(現在の東京都北区)で生まれたやなせたかしは、新聞記者をしていた父・清の転勤により一家で中国の上海で暮らした後に、父のアモイ転勤にあわせて父と離れて家族で帰国。再び東京で暮らしています。
※やなせたかしは父の故郷である高知県香美郡(現在の香美市)で生まれたとする説もあります。
その後、父がアモイで客死したため、母とともに高知県香美郡出身だった父の縁を頼って高知県高知市に移住。高知で母が再婚をしてしまったため、高知県長岡郡後免町(現在の高知県南国市)で柳瀬医院を開業していた伯父の柳瀬寛のもとに引き取られています。
※やなせたかしの実弟・柳瀬千尋は、これより一足前に子供がいなかった柳瀬寛夫婦の養子になっています。
やなせたかしは7歳から18歳までを高知・後免町の伯父の家で暮らしています。※18歳で官立旧制東京高等工芸学校図案科(現在の千葉大学工学部総合工学科デザインコース)に進学して上京。
※やなせたかしの生涯のパートナーとなる小松暢(朝田のぶのモデル)は、大阪府大阪市生まれ。大阪で高等女学校を卒業した後、父が高知県安芸市出身だった縁もあり高知新聞社に入社(女性として初採用)。この高知新聞社の編集部で後から入社してきたやなせたかしと同僚になり、二人は運命の出会いを果たしています。
つまり、やなせたかしと小松暢はドラマで描かれるような地元の幼なじみ同士ではないということです。
やなせたかしの足跡が残る後免町
▼「やなせたかし全詩集」には、柳瀬医院の近くにあった後免町の道信山で弟の千尋と遊んだ思い出(『道信山の夕やけ』)など、後免町や高知での日々を綴った詩が収められています。
▼やなせたかしが暮らした柳瀬医院の跡地を整備した「やなせたかし・ごめん駅前公園」(高知県南国市駅前町3-22-24)。
やなせたかしを引き取った伯父・柳瀬寛は教養深く多趣味だった人物で、後免町で暮らし始めたやなせたかし少年は、伯父から大きな影響を受けて多感な時期を過ごしています。
やなせたかしが暮らした柳瀬医院の跡地は現在「やなせたかし・ごめん駅前公園」として整備され、園内のベンチにはアンパンマンやカレーパンマンなどのキャラクターの石像が設置されています。
他にも、やなせたかしによって「やなせたかしロード」と名付けらた後免町商店街には、アンパンマンほかの石像が7体設置。JR後免駅前にはやなせたかしデザインによる「ごめん生姜地蔵」があるほか、地元の観光列車であるくろしお鉄道・ごめん なはり線(後免駅〜奈半利駅)の各駅にはやなせたかしデザインによる各駅のイメージキャラクターが存在。
やなせたかしの母校である南国市立後免野田小学校(旧・後免野田組合小学校)には、「やなせライオン像」「やなせうさぎ」のモニュメント、「手のひらを太陽に」の歌詞看板などもあります。
▼やなせたかしロード(後免町商店街)には、アンパンマン像やジャムおじさん像、メロンパンナちゃん像などが点在。