NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」で、女優の谷村美月が演じる「小野明美」という人物についてまとめます。小野明美にはモデルとなっている実在の女性が存在します。
小野明美はヒロイン・すみれ(芳根京子)にとって重要な人物になっていきます。
すみれに反発 やがてベビーナースに
小野明美は、坂東家の女中・マツ(中島ひろ子)の娘です。マツは早くに夫を亡くし女手ひとつで明美を育て上げましたが、その貧しさゆえ、明美は幼い頃から「お嬢様」であるすみれに反発心を持っている様子です。
その後、戦時中に坂東営業部の経営が苦しくなると坂東家はマツを雇うことができなくなります。こうした経緯もまた、明美がすみれのことを良く思わない理由の一つとなっていきます。
明美は母に楽をさせるために、働きながら看護師の資格を取得し働き始めます。また、英語を独学で学ぶなど努力を惜しまない明美は、やがて「ベビーナース」として神戸の外国人村で西洋式の子育て法を教えるまでになります。一度は疎遠になった明美とすみれですが、この時期に再会を果たします。
戦後、明美は職を失うと再び看護師として働き始めます。この時期、すみれは事業を興すことを考えており、豊かな経験を持つ明美に協力を求めてやってきます。しかし、以前から「お嬢様育ち」のすみれを良く思わない明美はこれを突っぱねて…。
※明美の少女時代は子役の坪内花菜が、大人になってからは谷村美月が演じます。
モデルは「ベビーナース」大ヶ瀬久子
ドラマでは少し人物設定が変わっていますが、戦前に外国人専門の「ベビーナース」をしていた大ヶ瀬久子という女性が、小野明美のモデル人物です。
すみれのモデル人物・坂野惇子は、出産を機に大ヶ瀬久子と出会い(英国婦人・オーツ夫人による紹介)、当時としては画期的だった西洋式の合理的な育児法を久子から学んでいます。
古い浴衣地ではなく、白い織地の正方形のおむつ。論理に基づき赤ちゃんへの愛情に満ちた授乳法。真冬でも外気浴をさせる考え方…。それまでの子育ての「常識」を覆す久子の新しい西洋式育児法に、惇子はただただ驚いたそうです。
育児経験を事業に活かす
この時の惇子の経験は、その後仲間たちと「ベビーショップ・モトヤ」を開店する際に活かされます。
当初は単なる手芸店として店を出そうと考えていた惇子でしたが、せっかく覚えた育児経験を店にフィードバックし、欧米の育児法をもとにして、可愛くて赤ちゃんに優しい良質なベビー衣料品を取り扱おうと考えたのです。
「ベビー・コンサルタント」としてファミリアに関わった久子
外国製の生地を使い、手間隙をかけて作られた惇子らのベビー衣料品は飛ぶように売れました。
久子は「ベビー・コンサルタント」という形で惇子らの事業に関わり、「ベビーショップ・モトヤ」から発展した「ファミリア」では育児相談を受け持つなど、欧米の育児法への精通を強みとした「ファミリア」の誕生と発展に欠かせない人物になっていきます。
明美は創業メンバーの一人?
大ヶ瀬久子は坂野惇子にとって「先生」「師匠」といえる存在でしたが、ドラマでの明美は、すみれの「仲間」というニュアンスが強いようです。
「べっぴんさん」第1回放送「キアリス・創立二十周年記念パーティ」のシーンにおいて、明美はすみれ・良子・君枝とともに4人で式場に並び立っていたことから、明美が「キアリス」創業メンバー4人のうちの1人となるのではないかと予想します(あるいは創業後に3人に合流?)。
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