NHK連続テレビ小説「ブギウギ」に登場する梅丸少女歌劇団(USK)養成所や梅丸劇場の建物(外観)のロケ地、撮影場所をまとめます。
ちょっとレトロなUSKの本拠地は、大阪にある歴史ある実在企業のレトロな社屋がロケ地となっています。
梅丸少女歌劇団(USK)養成所兼事務所=久金属工業(大阪市)で撮影
第5回(10月6日放送)では、鈴子(澤井梨丘)が梅丸少女歌劇団(USK)の入団試験を受けるために同劇団の養成所兼事務所を訪ねる様子が描かれています。
前日の第4回(10月5日放送)で鈴子が受験した花咲音楽学校の校舎は瀟洒な洋館でしたが、梅丸少女歌劇団の本拠地となる梅丸少女歌劇団養成所の建物は、それよりも少しレトロな雰囲気。梅丸は花咲よりも後発の劇団であり、まだまだ規模感が小さい劇団であることがうかがわれます。
▼梅丸少女歌劇団(USK)の養成所兼事務所の建物外観は、大阪府大阪市西成区北津守3丁目にある金属加工業の会社・久金属工業(株)の社屋で撮影されています。久金属工業(株)は、1915年(大正4年)創業の歴史ある企業。撮影に使われた社屋は1937年(昭和12年)建築の洋館で、ファサードや門柱が特徴的な名建築として知られます。
▼一方、花咲音楽学校の校舎外観は、滋賀県豊郷町の旧豊郷小学校旧校舎群で撮影。こちらは「カムカムエヴリバディ」の岡山駅、「べっぴんさん」の女学校校舎のロケ地としても登場したおなじみの建築物です。アニメ「けいおん!」の聖地としても有名ですね。
道頓堀の梅丸劇場=松竹撮影所(京都撮影所)で撮影か
第5回(10月6日放送)では、花咲音楽学校の試験に落ちてふさぎ込む鈴子を梅吉が「梅丸劇場」に連れ出す様子が描かれています。お目当ては同劇場で見られる梅丸少女歌劇団(USK)です。
この当時(1927年・昭和2年)の梅丸少女歌劇団(USK)はまだ駆け出しの劇団で、「梅丸劇場」で上映される映画の合間にレビューを披露するという形式をとっていました。
鈴子はおっちゃんが好みそうな映画「乱闘の巷」に退屈して寝てしまいますが、梅丸少女歌劇団のレビューが始まると大感激。トップスターの大和礼子(蒼井優)らが披露したレビュー「胡蝶の舞」の虜になってしまいます。
この道頓堀にあるという設定の「梅丸劇場」ですが、町並みのデザインなどから、京都府京都市右京区太秦堀ケ内町にある松竹撮影所(京都撮影所)のオープンセットでの撮影と思われます。
梅吉と鈴子が歩いた太鼓橋のデザインや橋から見えた道頓堀の町並みが、同撮影所のオープンセットと一致しています。※ただし「梅丸劇場」として登場した洋風の劇場はこのオープンセットマップには見られず。「ブギウギ」の撮影のために急ごしらえで建築されたのかも知れません。
この松竹撮影所(京都撮影所)のオープンセットでは、鈴子とタイ子が歩くレトロな大阪の町並み(易者がいた堀端)も撮影されています。オープンセットマップの「⑤堀端」の風景が、「ブギウギ」で鈴子とタイ子が歩いた町並みと完全一致しています。
【参考】
USKのモデルである松竹楽劇部(後に大阪松竹少女歌劇団=OSSK)は設立当初、道頓堀にある大阪松竹座を拠点に映画と映画の合間に上演をしていました。「ブギウギ」の梅丸劇場(1927年・昭和2年)は、この大阪松竹座がモチーフと思われます。
ただし劇中に登場した梅丸劇場のデザインは1933年(昭和8年)以降にOSSK、OSKが本拠地とした大阪劇場のデザインに似ているかと思います。
▼1956年(昭和31年)3月、大阪松竹歌劇団(OSK)の「春のおどり」上演中の大阪劇場。大阪大空襲で焼失し、すぐに再建。※パブリックドメイン。出典:Wikipedia。「ブギウギ」に登場した梅丸劇場(1927年・昭和2年)とデザインが似ていますね。
▼松竹撮影所は朝ドラ「おちょやん」で道頓堀の町並みのセットが組まれた場所でもあります。「おちょやん」は松竹新喜劇、「ブギウギ」は松竹楽劇部(現在のOSK日本歌劇団)が題材となっていますので、それぞれ松竹の全面協力を得ているのでしょう。