NHK連続テレビ小説「花子とアン」で繰り返し使われる挨拶「ごきげんよう」。これはヒロインのモデルとなった村岡花子が、出演していたラジオ番組のお別れの時間に使っていた定番の文言です。
「ごきげんよう」は東洋英和女学院の生徒たちが用いる挨拶であり、花子も青春期に学校で叩き込まれた思い出の言葉。
漢字で書くと「ご機嫌良う」で、意味としては「次回会うまでご機嫌良くお過ごし下さい」=「お元気で」といった意味です。
山の手言葉とは?今も使われる?
「ごきげんよう」は一般的に東京の「山の手言葉」であると言われます。「山の手言葉」には、他に「ごめんあそばせ(=ごめんなさい、失礼しました)」「~かしら」「あぶのうございます(=危ないですよ!)」「~ですこと!」などがあります。
東京の言葉といえば、江戸町人文化の名残である下町の「江戸弁」「江戸言葉」(東京東部が中心)が全国的には有名です。
それとは別に、江戸以来全国から様々な地方の人々が流入し、江戸時代の武家、明治維新以降の新政府関係者らが共通の言語として用いた「山の手言葉」(東京西部が中心)もまた、東京の代表的な言葉です。
江戸弁とともに消えつつある
テレビの影響か、どうも「山の手言葉」というのは「イヤミなセレブ」が「オーホッホッホ」と笑いながら嫌がらせに使う言葉のようなイメージがあります。
しかし、現在でも東京23区西部、いわゆる「山の手」と言われるエリアのご年配の方々の中には、こうした「山の手言葉」をイヤミ無しに、美しく使う方がいらっしゃいます。若い人でコテコテの山の手言葉を使う人はすっかり少なくなりました(ほとんどいない?)。
花子が「ごきげんよう」にこめた気持ち
「花子とアン」では、ラジオ番組に出演する花子がある ”こだわり” を持って「ごきげんよう、さようなら」を番組の締めの言葉として用います。
それは、リスナーがまた明日も無事に元気で、この放送を聞いてくれるように…。病気を持った人、辛い境地にある人が多く番組を聞いていると知った花子は、そうした人々の安寧を願って、周囲の反対を押し切り「ごきげんよう、さようなら」を使い始めます。
「ごきげんよう」の言葉は、北海道で辛い思いをしてきた妹・もも(土屋太鳳)の心も少しずつ解きほぐしていきます。
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