NHK連続テレビ小説「花子とアン」第23週より。
兼ねてより花子(吉高由里子)の兄・吉太郎に尾行されていた宮本龍一(中島歩)が、ついに吉太郎ら憲兵により連行されてしまいます。この一連の騒動により花子と英治(鈴木亮平)は蓮子から密告を疑われ、「腹心の友」だったはずの花子と蓮子の間に再び亀裂が走ります。
学生時代から社会主義運動にのめりこんでいた龍一
龍一は東京帝国大学の学生時代から「社会主義革命」を夢見ていました。一部のブルジョアが民衆から富を搾取する社会構造を疑問視し、全ての人が平等に「富」を享受できる理想的な社会をつくりたいと考えていたのです。
そんな龍一も、皮肉にもブルジョア階級の象徴ともいえる伯爵家令嬢・蓮子と恋に落ち、結婚。大学を卒業して新米の弁護士として働き始めます。しかし、やはり学生時代の理想は龍一の胸にくすぶっていたようです。
反戦運動に参加 軍部から目をつけられ憲兵に…
日中戦争が本格化してくると、龍一は仲間らとともに「反戦運動」を展開します。中国との和平工作のため、龍一は仲間とともに大陸へと渡ろうとしていました。
昭和13年(1938年)当時、国や軍部の方針に逆らおうとする勢力はすでに厳しく弾圧されるようになっており、龍一も国家からこうした水面下の行動に目をつけられてしまいます。
社会運動家・宮崎龍介の逮捕
宮本龍一のモデルである社会運動家、弁護士の宮崎龍介もまた、昭和12年(1937)年に陸軍によって逮捕されています。龍介は大正期から社会民衆党などに所属し、中国国民党と連携を図るなど盛んに政治活動をしていました。
昭和12年、龍介は近衛文麿首相の密使として蒋介石との和平協議のため中国に向かおうとした際に、神戸港で憲兵によって逮捕されています。
龍介の父・滔天は革命運動にのめり込んで家庭を省みない男でしたが、息子の龍介もまた、その父の影響を少なからず受けていたのでしょう。
純平が軍人に 「国賊!」と罵られる父を見て…
「花子とアン」では今後、「軍国少年」として着々と成長している龍一の長男・純平(大和田健介)と、反戦運動に携わる父・龍一との間に亀裂、反発が生まれます。
連行時に近所の人々から「国賊!」「非国民!」と罵られる父を見て、純平はますます父への反発を強めます。そして父母の思いに反して純平は軍人となり、危険な戦場へと向かうことになります。
この純平のモデルとなっている宮崎龍介、白蓮夫妻の長男・香織は、終戦のわずか四日前に鹿児島県串木野市の基地で爆撃を受け、亡くなっています。「花子とアン」でも息子を戦場へ送り込んだ蓮子の苦悩が描かれることになりそうです。
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