NHK連続テレビ小説「ひよっこ」2017年9月2日(土)放送の第132回で、富が無類のお土産好きである理由が語られましたので、まとめておきます。
ただ単に食いしん坊だったからではないようで…。
お土産大好き、富ちゃん
「郷里の贈物は必ず報告を」「管理人へのおすそ分け忘れずに」といった貼り紙を貼ってまで、執拗に入居者たちにお土産、贈り物のおすそ分けを強要する(笑)、あかね荘管理人の立花富(白石加代子)。
富のこうした言動はこれまで、「食いしん坊」「食い意地がはっている」といったニュアンスで描かれてきたかと思いますが、この日の放送では、富の「お土産好き」には切ない理由が隠されていたことが明かされました。
愛した人・松永悠馬
そのキッカケは、富がかつて愛した御曹司・松永悠馬(大山真志)の死でした。松永の死を知って悲しみに暮れる富は、あかね荘の人々の前で、松永との遠い日の思い出を語ります。
松永悠馬は、富が赤坂一の芸者だった時代に店にやってきた大企業の御曹司。イケメン御曹司と赤坂一の美人芸者が恋に落ちるのに、それほど長い時間はかかりませんでした。富は現在でいう「愛人」という立場ではありますが、松永と愛を深め、世間から隠れるように逢瀬を重ねたようです。
日本全国の風景、名産品
御曹司と芸者の恋は秘められたものであり、堂々と東京の街を並んで歩くような関係性ではなかったのでしょう。富と松永は、時間を見つけては日本中を旅で巡り、各地の美しい風土に触れ回ったそうです。
松島の美しい島々、天橋立、安芸の宮島、北海道の毛ガニ、仙台の笹かまぼこ、茨城のあんこ、山梨の富士山、静岡のうなぎ、新潟のへぎそば、富山のホタルイカ、福井の越前がに、三重の伊勢エビ、奈良の柿の葉寿司、通天閣でお好み焼き、讃岐うどん、宍道湖のしじみ、土佐のカツオ、下関のふぐ、長崎のカステラ、阿蘇山のカルデラ、鹿児島の桜島、沖縄の青い海…。
「だから全国の名産品が今も好き。思い出すから」
彼からもらった「最後の贈り物」だという大好きなあかね荘で、日本各地の名産品を食べる時間こそが、富にとって最も幸せな時間だったというわけです。
「ひよっこ」脚本の妙
「ひよっこ」の脚本は、こういった伏線をさらっと回収してストーリーに組み込む上手さが光っているように思います。
富がやたら「お土産好き」だという小ネタは、特に本筋と関係がないものと思われましたが、ここに来て富の切ない恋の思い出話となってストーリーに繋がりました。
この日、富が自身の失われた恋物語を話して聞かせたのは、みね子、時子、早苗、愛子ら、これから恋をするであろう乙女たち。「命短し、恋せよ乙女」とゴンドラの唄が歌うように、この富の話をキッカケにして新しい恋の動きが起き始めるかも知れません。
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