NHK連続テレビ小説「ひよっこ」4月7日(金)放送回で、谷田部家の収入源の内訳が明かされました。
この記事ではドラマの時代設定である昭和39年当時の給与水準、物価とあわせて、谷田部家の経済事情をまとめます。
米農家・谷田部家の収入バランス
奥茨城村ではリンゴ生産などを手がける三男の家(角谷家)、酪農なども行なう時子の家(助川家)など、谷田部家よりも規模が大きい裕福な農家も存在します。
しかし、谷田部家は小規模な米づくりが主な収入源。これに祖父・茂(古谷一行)が行なう炭焼き(木炭づくり)の売り上げ、母・美代子(木村佳乃)のささやかな内職代、父・実(沢村一樹)が東京に出て建設現場で得た出稼ぎ賃金が加わり、やっと生活が成り立っている状態です。
5年前の不作の年に農協からお金を借りたため、谷田部家は現在も借金を返し続けています。
※谷田部家の収入源
・農業(米が主体)…経費を差し引いて年10万円ほど
・じいちゃんの炭焼き…年3万円ほど
・母ちゃんの内職…月1,000円(年1.2万円)ほど
・父ちゃんの出稼ぎ給料…月2万円(年24万円)
谷田部家の合計世帯年収…約38万円
昭和39年(1964年)の物価は?
谷田部家は上述のように、年間収入が38万円前後。では、東京がオリンピック景気に沸いていた昭和39年の物価はどれほどだったのでしょう。以下、簡単にまとめてみます。数値は「戦後値段史年表」(週刊朝日編)より抜粋しています。
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昭和39年頃の給与水準、物価
公務員初任給(大卒・国家公務員上級職)…19,100円
銀行の初任給(都市銀行)…大卒・23,000円、高卒・16,000円
都立高校授業料(全日制・年額)…9,600円 ※昭和40年
都バス乗車賃(初乗り)…20円 ※昭和40年
京都市電乗車賃(大人)…15円
入浴料(東京都内・大人)…28円 ※昭和40年
動物園入場料(上野動物園)…大人・100円、子ども10円 ※昭和40年
下宿料金(東京本郷・月額・6畳二食付き)…9,500円
カレーライス(東京都心・並1皿)…120円 ※昭和38年
蕎麦(かけ、もり)…50円
とんかつ(東京都心)…280円
豆腐(東京周辺・1丁)…25円
たいやき(1個)…10円 ※昭和40年
駅弁(幕の内弁当・並)…150円 ※昭和38年
(参考)
劇中、東京の洋食屋「すずふり亭」で実が食べたハヤシライス…200円
・【ひよっこ】すずふり亭メニュー値段・物価まとめ ついにハンバーグまで辿り着いたみね子
物価水準は現在の10分の1程度か
外食がやや高いなどバラツキはありますが、大卒初任給の水準などから、昭和39年当時の物価はおおよそ現在(平成29年)の10分の1程度と見てよいでしょう。
谷田部家の収入を現在の感覚にあてはめると、米の収入が年間100万円、じいちゃんの炭焼きが年間30万円、母ちゃんの内職が月1万円(年間12万円)、父ちゃんの出稼ぎ給料が月20万円(年間240万円)。谷田部家の年間収入は380万円程度(※)といったところでしょうか。
奥茨城での田舎生活とはいえ、家族6人がこれで食べていくことを考えると、リアリティのある数字と言えそうです。