NHK連続テレビ小説「エール」2020年10月16日(金)放送の第90回で、薬師丸ひろ子が演じる関内光子が瓦礫の中で歌った曲(賛美歌)「うるわしの白百合」についてまとめます。
薬師丸ひろ子といえば、朝ドラ「あまちゃん」で致命的に音痴な歌手・鈴鹿ひろ美役を演じ、ドラマのクライマックスで「奇跡の美声」を披露したことで知られます。
「エール」でも薬師丸ひろ子の歌手としての実力が堪能できそうです。
大空襲で瓦礫の山となった豊橋
昭和20年6月19日深夜から行われた豊橋の大空襲では市街地の七割が焼き尽くされ、音の生家である関内家(関内馬具店)も全壊。梅と岩城が家屋の倒壊に巻き込まれています。
玉音放送が流れて戦争が終結すると、音の母・関内光子(薬師丸ひろ子)は関内家の焼け跡に足を運び、家族との思い出の品を探しながらある歌を歌い始めます。
大物歌手、大物女優である薬師丸ひろ子をこの役に配役した意味がよくわかる、とても印象的なシーンとなりました。
「うるわしの白百合 ささやきぬ昔を 百合の花 百合の花 ささやきぬ昔を…」
光子がこの時歌ったのは、有名な賛美歌のひとつ「うるわしの白百合」でした。関内家はキリスト教を信仰しているため、この選曲になったのでしょう。
光子が歌ったのは、「うるわしの白百合 ささやきぬ昔を 百合の花 百合の花 ささやきぬ昔を…」という歌詞。楽しかった戦前の関内家の思い出の回想シーンとともに、光子の美声が響きました。
「うるわしの白百合」はアメリカで生まれた讃美歌(496番)で、その美しい旋律により、とりわけ日本人が好んで歌う歌です。
アメリカ軍による空襲ですべてを失った光子が、それでもアメリカ生まれの賛美歌を歌う…。色々な意味を持ったシーンでしたね。
薬師丸ひろ子(鈴鹿ひろ美)の美声再び…
歌詞のメインである「百合(ゆり)」は主に秋植えの球根植物。厳しい冬を越え、初夏から夏に美しい花を咲かせることから、西洋では中世より「復活の象徴」(イエス・キリストの復活)とされてきました。
すべてを失った敗戦時に光子が「うるわしの白百合」を歌ったのも、厳しい冬を耐え、やがて夏に「復活」する百合の生命力を敗戦国日本の状況と重ね合わせてのことでしょう。
「あまちゃん」で致命的に音痴な歌手・鈴鹿ひろ美役を演じ、ドラマ終盤・クライマックスでは美声(曲:潮騒のメモリー)を披露した薬師丸ひろ子。「エール」における重要なシーンで、再びその美声を披露することになりました。
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