NHK連続テレビ小説「エール」で、プロ野球の元巨人内野手・寺内崇幸(てらうち・たかゆき)さんが出演します。
寺内さんが演じる青年・多田良介の役柄と、そのモデルとなった作詞家・加賀大介についてまとめます。
元巨人のユーティリティプレイヤー・寺内崇幸
寺内崇幸さんといえば、2007年から2018年まで読売ジャイアンツ(巨人)の内野手として活躍した元プロ野球選手。
通算670試合に出場し、セカンド、サード、ショートを守れるユーティリティー性により原辰徳監督から「スーパーサブという面ではセ・リーグを代表する選手」と評された名脇役です。
「エール」第20週で描かれる「栄冠は君に輝く」誕生のエピソードの撮影が栃木県内で行われるにあたり、現在独立リーグ・BCリーグ「栃木ゴールデンブレーブス」で監督を務めている寺内さんに、出演者として白羽の矢が立ったそうです。
「栄冠は君に輝く」を作詞する青年・多田良介役
寺内さんが演じるのは、主人公・古山裕一(窪田正孝)が作曲することになる夏の甲子園大会歌「栄冠は君に輝く」の詞を作る青年・多田良介役です。
裕一は元球児・多田良介の野球への想いを受けて不朽の名曲「栄冠は君に輝く」を生み出す見込みであり、今も野球に情熱を燃やす寺内さんの演技が注目されます。
▼伊藤久男が歌うオリジナル復刻版を収録した「栄冠は君に輝く」。Amazon ページ上で視聴ができます。
モデルは作詞家・加賀大介
多田良介のモデルは、古関裕而作曲の夏の全国高等学校野球選手権大会歌「栄冠は君に輝く」の詞を作った実在の作詞家・加賀大介(本名・中村義雄)です。
戦後の1948年、学生改定により甲子園大会が「全国高等学校野球選手権大会」と改称されることなどを受けて、主催者である朝日新聞社が新しい大会歌の歌詞を広く募集します。
応募があった5,252篇の歌詞の中から選ばれたのが、石川県でプロの文筆家として活動をしていた加賀大介の作品でした。実はこの時、作品は加賀の婚約者(後の妻)髙橋道子名義で提出されていたのですが、これは地元でプロの文筆家として活動をしていた加賀が「お金目当て」で応募したと思われたくなかったため(賞金は当時として破格の5万円)。
そのため、当初は髙橋道子が新聞社からの取材を受けるなど、1968年頃までは「作詞中村道子・作曲古関裕而」のクレジットが用いられました(※髙橋道子は加賀=本名・中村義雄=と結婚して中村姓になっていた)。その後、第50回の記念大会(1968年)のタイミングで加賀大介が自分の作品であることを「カミングアウト」し、クレジットも現在のように「作詞加賀大介・作曲古関裕而」となっています。
元球児だった加賀大介 試合中の怪我で足を切断
球児として野球にのめりこんでいた加賀大介は、16歳の時に野球の試合による怪我が原因で右足の膝から下を切断するという辛い経験をしています。それだけに加賀の野球に対する思いは人一倍強かったようです。
「雲は湧き 光あふれて 天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ」…聞くだけで青春の輝きが眼前に沸き立つような加賀大介の歌詞は、自身の辛い経験を胸に創られたものだったのです。