「ブギウギ」USKデビュー後の月給は20円 現在の物価、貨幣価値でいくらくらい?

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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第2週より。ヒロインの鈴子が入団する梅丸少女歌劇団(USK)のデビュー後の月給「20円」の貨幣価値、当時の物価感覚などをまとめます。

現代の駆け出しの劇団員といえば、アルバイトを掛け持ちしながら公演チケットを売りさばいて…という苦労多い生活を連想しますが、USKでの生活はどのようになるのか気になりますね。

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デビューすれば月給20円 研究生の間は無給

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1927年(昭和2年)。鈴子(澤井梨丘)は研究生として梅丸少女歌劇団(略称・USK)への入団が決まると、さっそくデビューを目指して厳しいレッスンを受ける日々が始まります。

USKではデビューをすれば月給20円が出るようになりますが、デビュー前の研究生は無給。とにかく舞台に立てるようにならなければスタートラインにも立てないわけで、鈴子は必死にレッスンに食らいついていくことになります。

こうしたUSKの叩き上げの育成システムは、高い授業料を払って養成学校で学ぶ花咲少女歌劇団の育成方法とはかなり異なります。ハングリー精神が育ちそうですね。

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月給20円は安月給?当時の各職業のお給料事情

ちょっと気になるのが、デビュー後の月給20円の価値。決して裕福ではない家に育った鈴子にとって、この20円というお給料はどんな意味を持つのでしょうか。

参考までに、鈴子がUSKに入団した1927年(昭和2年)当時の各職業の月給をまとめます。日給での表記が多いですが、月25日働いたものとしての「月給」も計算してみました。※当時はもう少し休みが少なかったかも…。

★1927年(昭和2年)のお給料事情

・製紙女工(日給)…79銭 ※25日働いて19.75円
・左官(日給)…93銭 ※25日働いて23.25円
・缶詰工(日給)…1円54銭 ※25日働いて38.5円
・機械織職(日給・女性)…1円80銭 ※25日働いて45円
・製糖工(日給)…1円89銭 ※25日働いて47.25円
・和菓子製造職(日給)…2円17銭 ※25日働いて54.25円
・大工(日給)…3円47銭 ※25日働いて86.75円
・鋳物職(日給)…3円99銭 ※25日働いて99.75円

・小学校教員初任給(月給・東京の公立小学校)…40円〜55円
・都知事給料(月給)…500円 ※年俸6,000円

USKデビュー後の月給20円は、当時の製紙女工が25日間働いた給金(19.75円)とほぼ同等。女性の機械織職は25日働いて45円ですが、翌年の1928年に同職の平均日給は86銭(25日働いて21.5円)に暴落しており、USKの月給とほぼ同等です。

和菓子職人(月額約54円)や大工(月額約86円)など手に職を持つ職業に比べると3分の1から4分の1、小学校教員の初任給(40円〜55円)の半額以下ですから、USKの団員たちは手に職を持つ人たちに比べれば決して高給取りというわけではないことがわかります。

令和現在の小学校教員の初任給(大卒)は約21万円であり、その半額と考えると10万円ちょっと。駆け出しのUSK団員のお給料は、アルバイトに毛が生えた程度ということになります。

とはいえ女性が働ける場が少なかった当時の事情を考えれば、好きな歌と踊りを披露しながら女工たちと同等程度の月給がもらえるというのはかなり良い条件に思えます。実家にいくらかはお金を入れられそうですね。

※どこまで信憑性があるのかはわかりませんが、ライトハウスという企業口コミサイトによれば、現在のOSK日本歌劇団(劇中USKのモデル)の団員の月収は6万円、賞与が25万円、年収が100万円と表記されています。この固定給に加え自身で公演チケット(1等席¥8,500ほか)を売ることで10%の販売手数料が入るとのことですが、駆け出しの団員の生活は苦しそうですね。

なお、宝塚歌劇団のトップクラスのスターになると年収約500~900万円前後もらえるとの情報も。こちらも選ばれしトップスターと考えるとそこまで破格ではないですね…。

▼この記事で扱う数字は「物価の文化史事典」(監修・森永卓郎)を参考にしています。食費、娯楽費、交通費、家賃、お給料事情など時代ごとの様々な物価の一覧が網羅されており、眺めているだけでも楽しいです。

監修:卓郎, 森永
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当時の物の値段まとめ

おそらくUSKデビュー後に実家にお金を入れることになるであろう鈴子。月給20円のうち、自分で使えるお金もわずかかと思います。

参考までに、東京の物価が中心となってしまいますが、1927年(昭和2年)当時の物の値段をピックアップしてみます。

★1927年(昭和2年)の物価

・うどんそば(1杯・東京)…10銭
・親子丼(1杯・東京)…30〜40銭
・三越食堂のカレーライス(1杯・東京)…30銭

・婦人用浴衣(純綿・1反)…1円前後 ※1930年のデータ
・男の帽子(1個)…8円79銭
・ネクタイ…1円前後
・銭湯の入浴料(大人・東京)…5銭
・男の理髪料(大人・東京)…50銭
・帝国劇場の観劇料…最高料金8円、最低料金50銭
・映画観覧料(大人・入場料)…50銭、1円50銭、2円50銭の3段階 ※1931年のデータ

・山手線初乗り運賃…5銭
・東京〜大阪間の鉄道運賃(片道)…6円4銭

・東京大学の学費(法文系・入学年次の1年分)…100円
・慶応大学の学費(法文系・入学年次の1年分)…140円

仮に月給20円のうち5円を鈴子が自由に使えるとしても、ちょっと外食をしたり映画を見たりすればお金が飛んでしまいます。舞台用の衣装や化粧品はUSKから支給されるかとは思いますが、なかなか生活は厳しそうです。

そもそもレッスンと公演に明け暮れる日々を過ごす中でお金を使う時間もなさそうですし、それほど自由を謳歌するような感じではなさそうですね。

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