NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に登場する神戸の靴店「あさや」。「あさや」店主の麻田茂男(市村正親)は、ヒロイン・すみれ(芳根京子)が子供服販売事業を進めていく上で重要な役割を果たすことになります。
この記事では、「あさや」ならびに麻田茂男という人物についてまとめるとともに、これらのモデルとなっている実在の店、人物についてもまとめます。
「あさや」店主・麻田茂男
ヒロインの地元にある神戸の靴店、「あさや」。
「あさや」の店主である麻田茂男は坂東家に出入りする靴職人で、普段はニコニコと優しいおじさんですが、いざ仕事となると、表情は真剣そのもの。その高い技術と妥協のない実直な職人仕事ぶりは、地元の顧客から厚い信頼を受けています。
すみれは幼い頃から麻田の仕事ぶりを目にしており、この原体験がすみれを「ものづくり」の道へと導いていきます。
終戦後、生活苦に陥ったすみれが自らの手で稼ぐ道を模索するようになると、麻田はすみれに優しく手を差し伸べます。
麻田は「あさや」店舗の一角のショーケースをすみれとその友人たちに貸し与え、後に結実するすみれの事業の第一歩を後押しするのです。
モデルは「モトヤ靴店」店主・元田蓮
ヒロインの強力な味方になっていく「あさや」店主・麻田茂男。麻田が店舗の一角を貸し出すなどの一連のストーリーは、実話をもとに構成されています。
「あさや」ならびに麻田茂男のモデルは、神戸・センター街にあった「モトヤ靴店」と、店主の元田蓮(もとだ・れん)です。元田は腕のいい靴職人で、すみれのモデル人物・坂野惇子の生家である佐々木家に出入りしていました。
「モトヤ靴店」は、当時「神戸靴」と呼ばれたハンドメイドの靴も手がけており、同店の神戸靴は洒落ていて履きやすいと評判になっていました。
惇子の「才能」を最初に発掘
戦後、惇子(既婚、娘もいた)は生活に困窮すると、自らの嫁入り道具であったハイヒールを売るために久しぶりに「モトヤ靴店」を訪ねます。店主・元田は、そのハイヒールが惇子のために丹精込めて作った自作のものであることに気がつくと、「それを売るのだけは、やめていただけませんか」と惇子に懇願します。
元田はその時、惇子が持っていた可愛らしいお手製の「写真ケース」、「手提げ袋」などに目を留めます。
元田は、それら手製の製品を売ってみてはどうかと惇子に助言し、自らの店舗「モトヤ」のショーケースの一角を提供すると申し出たのです。
「ベビーショップ・モトヤ」開店
この提案を受けて惇子は、夫・坂野通夫、親友・田村江つ子らに相談。妻が仕事を持つことに大いに賛同した通夫の後押しもあり、惇子は田村江つ子、江つ子の義姉・田村光子、それに友人・村井ミヨ子とともに、「モトヤ靴店」の一角に「ベビーショップ・モトヤ」をオープンさせています。
元田はその後、「ベビーショップ・モトヤ」が発展して出来た「株式会社ファミリア」創立の際には初代社長に就任し(後に靴店経営に専念するため辞任)、後には同社取締役、監査役を務め、亡くなるまで惇子の事業に関わり、見守り続けました。
坂野惇子が「ファミリア」を優良企業に育て上げていく過程には、様々な人々の手助けがありました。中でも元田蓮は事業の最初の扉を開いてくれた「大恩人」であり、ドラマ「べっぴんさん」の「あさや」店主・麻田茂男も、ヒロインにとって重要人物になっていきます。
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