NHK連続テレビ小説「エール」で、世界的オペラ歌手・双浦環(柴咲コウ)が歌い、ヒットに導く「船頭可愛や」。
このエピソードのモデルとなったオペラ歌手・三浦環版「船頭可愛や」についてまとめるとともに、当時の音源が存在しますのでご紹介します。
売れなかった「船頭可愛や」を双浦環が歌う
人気作詞家・高梨一太郎(ノゾエ征爾)からの依頼を受けて裕一が作曲した「船頭可愛や」。
廿日市(古田新太)が連れてきた下駄屋の娘・沼田松子=藤丸(井上希美)が芸者歌手となり歌いますが、曲の完成度とは裏腹に、さっぱり売れませんでした。
落ち込む裕一を心配した音は、持ち前の行動力で世界的オペラ歌手・双浦環に「船頭可愛や」を聞かせます。
すると環は曲のクオリティに感銘を受けたようで、「この曲を私が歌って、レコードを出す!」と熱く語り始め…。
▼史実では、音丸版「船頭可愛や」は三浦環が歌う前にヒットをしていたようです。
・【エール】藤丸(井上希美)が歌う「船頭可愛や」 歌手・音丸がモデル
音丸の「船頭可愛や」を聞き感銘を受ける三浦環
一連のエピソードは、世界的オペラ歌手・三浦環が古関裕而最初のヒット曲「船頭可愛や」(歌:音丸)に感銘を受け、自身の声でレコード化したという史実がモデルとなっています。
▼「古関裕而初期作品集」には、音丸版・船頭可愛やと三浦環版・船頭可愛やの貴重な音源がそれぞれ収録されています。同じ曲でもバックグラウンドが違う二人が歌うと、まったく別の表現となります。アルバムはほかに「福島夜曲」「福島行進曲」「紺碧の空」「大阪タイガースの歌」なども収録。リンク先・Amazon「古関裕而初期作品集」商品ページ内でアルバム全曲視聴(約30秒)ができます。
ヨーロッパ各地で「お蝶夫人」上演などを成功させ、世界的な活躍を見せていたオペラ歌手・三浦環。
素晴らしい実績を手に帰国をしていた三浦環は、コロンビア専属声楽家という縁もあったのでしょう。流行歌となっていた古関裕而最初のヒット曲「船頭可愛や」(歌:音丸)を聞くと、「これは素晴らしい!是非私も歌いたい」と絶賛しています。
三浦環版「船頭可愛や」は、日本コロムビア「青盤レコード」(外国の著名な音楽家に与えられるラベル)としてリリース。まだまだ駆け出しだった古関裕而にとって、青盤レコードの曲をリリースしたことは大変な名誉であったようです。
筑前琵琶、小唄、民謡を下地とし、下駄屋の姉御から芸者歌手となった音丸。そして、世界的な活躍を見せてきたオペラ歌手・双浦環。音楽的バックグラウンドの違う二人が、それぞれの歌い方で古関裕而のメロディを芸術作品に昇華させています。音丸版・船頭可愛やと三浦環版・船頭可愛やの聴き比べをしてみると、実に楽しいですよ。
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