2014年6月18日(水)放送のNHK連続テレビ小説「花子とアン」より。
村岡英治(鈴木亮平)がカフェードミンゴに連れてきた弟・郁弥(町田啓太)がはなに手渡した英国小説「The Prince and the Pauper」について調べました。
甲府での生活ですっかり英語と疎遠になってしまった安東はな(吉高由里子)。そんなはなに少しがっかりした村岡英治は、英国帰りだという弟・郁弥をはなの元へと連れてきます。村岡英治はもう一度はなに英語翻訳の楽しさを思い出してもらおうと思ったようです。
「The Prince and the Pauper」村岡花子が翻訳
郁弥が「面白い本がある」とはなに手渡したのが、英国の書店で見つけたという美しい装丁の本「The Prince and the Pauper」。
Pauperは貧困者、貧乏人という意味で、「The Prince and the Pauper」は「王子と乞食」(近年では「王子とこじき」「王子と少年」との表記も)という邦題が付けられています。
この「王子と乞食」を翻訳したのは他ならぬ村岡花子であり、1927年(昭和2年)に平凡社から刊行されています。
「王子と乞食」ストーリー・あらすじ
「The Prince and the Pauper」はアメリカの作家マーク・トウェインが1881年に発表した作品で、16世紀イングランドの王家に生まれた少年「エドワード」と、城下の貧民窟で生まれ育った少年「トム」の二人の物語。
顔がそっくりだった二人の少年はある日ひょんなことから出会い、互いの立場を入れ替えて生活することを思いつきます。しかし、やがて王室の豪奢な生活に憧れていたはずのトムは宮廷生活の虚しさを知ることとなり、王室の堅苦しい生活に嫌気が差していたエドワードは、庶民の貧困生活に触れて世界の厳しい現実を知るー。
著者のマーク・トウェインは子供の視線を借りて16世紀当時のイングランドの世相を痛烈に皮肉るとともに、王子・エドワードが外の世界を知っていく知的な「冒険潭」として、誰もが楽しめる物語として書き上げました。「The Prince and the Pauper」は現在でも名作として世界中で読み継がれています。
聡文堂の新雑誌「にじいろ」で連載へ
「花子とアン」の安東はなは、勤める出版社・聡文堂の新しい雑誌(のちに「にじいろ」という雑誌名に決定)の目玉として、この「The Prince and the Pauper」の日本語訳を連載するという企画をぶち上げます。
醍醐亜矢子(高梨臨)の「まあ素敵な本!編集長、わたくしその本読んでみたいです。日本語で読めたらいいのになー」というナイスアシストもあり、この企画は実現へと動き始めます。
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