NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第10回(10月13日放送)より。
この日の放送では、梅丸少女歌劇団の同期3人組の花田鈴子、白川幸子、桜庭辰美の同時デビューが決定し、それぞれが芸名を決めてくる様子が描かれています。
この記事では、3人の芸名「福来スズ子」「リリー白川」「桜庭和希」のそれぞれの命名由来をまとめます。
「水の滴(みずのしずく)」役で3人同時デビューが決定
梅丸少女歌劇団(USK)に同期で入団した7人の中で、厳しいレッスンに耐え抜いて残った花田鈴子(澤井梨丘)、白川幸子(小南希良梨)、桜庭辰美(木村湖音)の同期3人組。
音楽部長の林(橋本じゅん)は3人の中から一人だけを選び今度の単独公演でデビューさせると語っていましたが、その後の3人の頑張りや同期としての連帯感が認められたのか、3人は「水の滴」役で同時デビューすることが決定します。
林部長いわく、「まともな役に付くにはまだまだ精進せい言うことや」という条件付きでの舞台デビューとなりますが、3人は大きな夢への第一歩を踏み出すことになります。
林部長はデビューにあたり、3人に芸名を考えてくるように要求。これを受けて3人は三者三様、以下のような個性あふれる芸名を生み出しています。
花田鈴子→福来スズ子(娘役) 【由来】笑う門には福来たる
さっそく家に帰り、両親や銭湯の常連客に芸名は何にしたらいいのかを相談した鈴子。
父の梅吉(柳葉敏郎)は「カステラ鈴子」というアホっぽい芸名を提案し、熱々先生(妹尾和夫)は「道頓堀鈴子」という演歌臭漂う芸名を提案しますが、これらは秒速で却下。
鈴子が「お母ちゃんも何か考えてえや」と母のツヤ(水川あさみ)に懇願すると、ツヤは「福来スズ子(ふくらい・すずこ)」という芸名を提案しています。
「笑う門には福来たる」。
「はな湯」にはいつも梅吉を中心とした笑いと幸福の空間があり、鈴子の笑顔も花田家や「はな湯」に大きな幸福をもたらしてくれています。ツヤは、これからは家族や銭湯の中だけでなく見に来てくれるお客さんにもぎょうさん福を届けて欲しいという願いを込めて、「福来スズ子」という芸名を提案しています。
すっかり「福来スズ子」という芸名が気に入った鈴子。すぐに常連客たちの前で新芸名を披露し、拍手喝采を浴びることになります。
白川幸子→リリー白川(娘役) 【由来】父が憧れる女優 グレタ・ガルボ
ちょっとおマセであざといお嬢様・白川幸子の芸名は「リリー白川(りりー・しらかわ)」に決定しています。
よくわからない洋風な芸名に疑問を抱く辰美に対し、幸子は以下のように説明しています。
幸子「決まってるやん、ウチ、外国人になりたいねん。グレタ・ガルボみたいな顔になりたいねん」
辰美「無理やろ。あんた、どない見ても日本人や」
※グレタ・ガルボは、スウェーデン生まれの伝説的ハリウッド映画女優。ハリウッドのサイレント映画期やトーキー映画初期に活躍した女優で、映画「肉体と悪魔」(1926年)、「アンナ・クリスティ」(1930年)、「アンナ・カレニナ」(1935年)、「ニノチカ」(1939年)などに出演しています。
グレタ・ガルボが全盛期を迎えるのが1925年以降とされますから(その後1930年代にかけて大活躍)、幸子たちがUSKで舞台デビューした1927年(昭和2年)当時はちょうど人気上昇中の海外女優という立ち位置ですね。
グレタ・ガルボは1929年に映画「野生の蘭」に主演し、リリー・スターリングという役を演じています。
相変わらず「陽キャ」らしく脳天気にも思える命名理由を語った幸子ですが、この芸名には幸子のある思いが込められていそうです。
幸子のUSK入りを猛反対している父は、グレタ・ガルボの大ファンだそう。
いまだにお嬢様女学校入りを強く迫ってくる父に対し、幸子は少しでも自分の夢を認めてもらいたい、父が憧れるグレタ・ガルボのようになりたいと考えているようです。幸子なりに強い決意が込められた芸名と言えそうですね。
桜庭辰美→桜庭和希(男役) 【由来】男に生まれたら和希という名前がよかった
家が貧しく、家業を手伝いながら必死に稽古を重ねてきた桜庭辰美。彼女が考えた芸名は「桜庭和希(さくらば・かずき)」でした。
辰美いわく「男に生まれとったら和希いう名前がよかってん」。
幼少期から弟や妹たちを世話しながら家業も支えてきた辰美だけに、舞台の上では現実を離れて「もう一人の自分」を演じてみたいという思いがあるのかも知れません。
この芸名のとおり、辰美は凛々しい男役「桜庭和希」として成長していきそうです。