TBS系日曜劇場「下剋上球児」の劇中に登場する三重県立越山高校(えつざんこうこう)野球部についてまとめます。
越山高校野球部は、2018年に奇跡の甲子園出場を果たした三重県立白山高校をモチーフに創作されています。
【ドラマ】三重県立越山高校の弱小野球部
越山高校(えつざんこうこう)は、三重県内にあるという設定の県立高校です。無気力な生徒が集まっており、地元では残念な高校という意味で「ザン高(ざんこう)」と揶揄されています。※越山高校は架空の学校です。三重県の鳥羽地方にあるという設定のようです。
越山高校には野球部がありましたが、まともに活動している部員は3年生で主将の日沖誠(菅生新樹)のみ。ほかの部員たちは幽霊部員であり、廃部寸前状態にある弱小チームでした。
そんな折、地元の大地主・犬塚樹生(小日向文世)の孫である犬塚翔(中沢元紀)が越山高校に入学したことで、野球部に大きな変化が起きていきます。
初孫の翔を溺愛する犬塚は、翔の入学祝いのために私財を投げうち、空き地に野球部のための専用グラウンド「犬塚ドリームグラウンド」を建設。かつて名門クラブチームの元エースだった翔は野球への情熱を失っていましたが、祖父の無邪気な圧力に屈して野球部に入部することになります。
その一方で、野球部の顧問を務める国語科教師の横田宗典(生瀬勝久)に定年退職が近づいていたことも、野球部に大きな変化をもたらしていきます。
横田は自身の後任として、赴任3年目の社会科教師・南雲脩司(鈴木亮平)に白羽の矢を立てます。南雲はもともと大学まで野球一筋でやってきたものの怪我をきっかけに引退、中退。その後は民間のスポーツトレーナーとして働いていましたが、教師になるという夢を捨てきれずに32歳で大学に再入学したという苦労人です。
南雲は当初、ある事情により野球と関わることを頑なに拒みますが、やがて監督として野球部立て直しの原動力になっていきます。
また、犬塚の誘いで横浜の野球強豪校から越山高校にやってきた熱烈な野球好きの家庭科教師・山住香南子(黒木華)も、野球部の躍進に貢献していきます。
新たな指導者のもとに新一年生も加わり、弱小だったポンコツ野球部は少しずつ変化を見せていき…。
【モデル】三重県立白山高校・野球部の奇跡の躍進がモデルに
ドラマ「下剋上球児」は、ライターである菊地高弘氏の著書「下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル」を原案とし、オリジナルストーリーが創作されています。
劇中に登場する三重県立越山高校野球部は、2018年に奇跡の甲子園出場を果たした三重県立白山高校野球部の躍進ぶりがモチーフになっています。
三重県津市内陸部の山あいにある県立白山高校。久居農林高校家城分校をルーツとし1959年(昭和34年)に開校した同校は、勉強が出来るわけでもなくスポーツが強いというわけでもないという、よくある「荒れ気味の」公立高校でした。
当時の白山高校野球部は、2007年から2016年までの10年間の県大会ですべて初戦敗退をするという紛れもない「弱小チーム」でした。さらに荒れ気味だった校風もあり、県内で一番対戦したくない高校などと噂される、どん底の状態にありました。
そんな白山高校野球部に赴任してきたのが、熱心な指導者である東拓司監督(三重県立久喜居高校→大阪体育大)でした。
※東拓司氏は2022年まで白山高校野球部で監督を務めた後、2023年からは昴学園高校(大台町)に転任して同校野球部の副部長に就任。昴学園は 16年連続で夏の県大会で初戦敗退をしており、東氏の新しい挑戦が始まっています。
※東氏はドラマの南雲のキャラクター設定とは直接関係ありません。教員免許を持っていないなどの南雲の設定はあくまでフィクションです。
雑草だらけのグラウンド、さっぱり進歩しない部員たち、真面目軍団と問題児軍団の対立などなど、難題が山積みの中で東監督らは苦心を重ね、少しずつ部員たちのポテンシャルを引き出していきます。
東監督のもと、まさに「リアル・ルーキーズ」のような変化を見せていった白山高校野球部。
迎えた2018年夏の県大会ではノーシードから四日市南高校、上野高校、菰野高校、暁高校、海星高校と次々と格上だった相手を撃破すると、決勝戦でも名門・松坂商業を8-2で破り、奇跡の甲子園出場を果たしています。
※甲子園では愛工大名電と対戦して0-10で敗戦。
あまりにも出来すぎな白山高校野球部の奇跡の快進撃。
もともとポテンシャルがあった生徒たちに東監督の熱血指導が加わったゆえの「奇跡」ともされますが、その秘密が「下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル」に余すことなくまとめられています。
ドラマ「下剋上球児」は、この白山高校野球部の奇跡の躍進からインスピレーションを得て創作されたオリジナルストーリーとなっています。
ドラマ「最愛」「MIU404」「アンナチュラル」などを手掛けたスタッフ陣が集結し、スポ根ドラマというよりは濃密なヒューマンドラマとして仕上がっているとのことで、見ごたえのある作品になりそうです。