NHK連続テレビ小説「あさが来た」第三週(2015年10月12日〜17日)に、新選組が登場します。
この記事では、「あさが来た」に登場する新選組の役どころ、それに劇中・加野屋のモデルとなっている加島屋と新選組との関係などについてまとめます。
加野屋に新選組登場!横柄な態度にあさは…
時は慶応3年。江戸幕府が大政奉還を行い、世は混迷を極めていました。そんな中、あさ(波瑠)が嫁いだ加野屋に突然「新選組」の土方歳三(山本耕史)らがやってきます。土方の来訪目的は、活動資金の調達。加野屋に対し横柄な態度で、早急に400両を用立てるようにと申し付けます。
「新選組」はご存知の通り、江戸時代末期の京都において、反幕府勢力を取り締まる警察活動に従事し、後に旧幕府軍の一員として戊辰戦争を戦ったいわゆる「幕府側」の組織ですね。
この土方らの横柄な態度に反発したのが、嫁のあさでした。もし幕府に何かがあった場合にその400両は本当に返してくれるのか、信用が第一の両替商が貴方がた新選組を信用してもいいのか、と新選組に食って掛かり、危なく斬り捨てられそうになります。
加島屋に新選組が来ていた
この場面は、加野屋のモデルである「加島屋」と新選組との関わりがあったと思われる資料、エピソードから着想されています。
何でも、加島屋の子孫の家に当時の新選組の借用書が残っていたそうで、この事実から今回の新選組登場という演出が決まったとか。
▲山本耕史は、2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」でハマリ役・土方歳三を演じており、11年ぶりの土方役。同作品のスピンオフドラマ「大河ドラマ 新選組!! 土方歳三最期の一日」は土方歳三が主役です。
血判入りの証文
ドラマ「あさが来た」の原案となっている「小説 土佐堀川」にも、加島屋と新選組との接点がうかがえる場面が描かれています。「小説 土佐堀川」は、あさのモデル・広岡浅子の足跡をもとに書き上げられた一代記です。
以下、「小説 土佐堀川」本文から引用です。
新選組が跋扈し、近藤勇や土方歳三の名が子供の間にまで浸透してきている。深夜、近藤が加島屋の戸を叩き、血判入りの証文と引き換えに軍資金を調達して帰ったという話は、自分の嫁に行く先のことなので、浅子にとっても興味深かった。
権力者の資金を支えた両替商
当時の両替屋は、幕府に対する「御用金」、各藩大名への「大名貸し」、そして後の明治新政府となる反幕府勢力に対する軍資金提供など、多額のお金を所有していたゆえに、政治勢力との関わりが発生していました。
こうした資金提供は、単に商人が権力者に一方的に搾取されるだけという関係だったわけではなく、権力者に恩を売ることで保護を受け、巨大な権益を手に入れられるという商人側のメリットもありました。
特に政治体制が変わろうかという幕末の激動の世の中においては、情報をいかに正確に読み取り、後に「勝ち組」となるであろう政治勢力に積極的に献金をして取り入るかー。そうした商人の「先見の明」が試されたのです。