NHK連続テレビ小説「あさが来た」にもたびたび登場している「ややこ」という言葉の語源、使われる地域などについてまとめてみました。
あわせて、他地域で「赤ちゃん」を指す方言もまとめてみました。「赤ちゃん」という言葉だけでも日本列島には多様な方言が存在します。
「稚児」「嬰児」 「ヤヤサン」「ヤァサン」とも
「ややこ」は、漢字で書くと「稚児」あるいは「嬰児」。赤子、赤ん坊、乳児をさす言葉です。現代でも、ご年配の方を中心に使う方がいらっしゃいますよね。
大阪あたりでは「ヤァコ」、丁寧に言うと「ヤヤサン」「ヤァサン」などとも言うようです(この部分、「大阪ことば事典(講談社)」参照)。
「ややこ」の語源は?
「日本語源広辞典(ミネルヴァ書房)」によれば、「ややこ」の語源には二つの説があるとされます。
ひとつ目の説は、「漸漸子(やうやう+こ)」で、小さい子、次第に大きくなる子の意味。
もうひとつの説が、「ヤヤ、ヨヨ(鳴き声)+こ」で、ヨヨ、ヤヤと泣く子、という意味から来ているというものです。
関西圏を中心に広範囲で
「日本方言辞典(小学館)」によれば、この「ややこ」という言葉は方言として様々な地方で使われています。一例を挙げると、大阪市周辺や兵庫県、奈良県、和歌山県、といった近畿圏のほか、福島県、神奈川県、広島県、四国地方など各地で用いられています。
また、「やや」(東北から関西にかけて)、「ややさん」(近畿圏が中心)、「やんやっこ」(静岡県浜松地方など)、「やーやー」(愛知県豊橋地方など)などを含めると、赤ん坊のことを「やや」と表現する地域は広域に広がっているようです。
「あさが来た」では、九州の炭鉱妻・カズ(富田靖子)が「ややこ」という言葉を用いていましたが、これだけ広域で用いられている言葉であることを考えれば、カズが用いていたことも不自然ではないかも知れません。
▲なかなかマニアックな本ですが、日本の数多の方言が細かくまとめられた素晴らしい一冊。眺めているだけでも楽しい。図書館にもあったりします。
「赤ちゃん」各地の方言
「赤ちゃん」は東北地方などで「おぼこ」、山形で「むいこ」「あっか」、福島県いわき地方、北関東などで「おとめ」、関東から九州の広範囲で「ねね」「ねねこ」「ねんね」、新潟から中部地方を中心とした「ぼぼ」「ぼぼさ」、中部地方や九州北西島嶼部の「いが」「いがご」「いがいが」、沖縄首里地方の「よーいーぐゎー」など、実に様々な呼称で呼ばれており、日本列島各地の多様性を感じます。
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