2016年10月3日(月)から放送が始まるNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」。
この記事では、「べっぴんさん」のヒロイン・坂東すみれ(芳根京子)のモデルとなっている実在の人物・坂野惇子(ばんの・あつこ)と、坂野惇子らが立ち上げた企業「ファミリア」(ドラマでは「キアリス」として登場)についてまとめます。
ヒロイン・すみれはどんな人?
新朝ドラ「べっぴんさん」は、お嬢様育ちのヒロイン・坂東すみれが戦後の混乱の中で「子供服づくり」を手がけ、やがて ”皇室御用達” にまでなる子供用品店を築き上げていく物語です。
ヒロイン・坂東すみれの人生は、実在の人物である坂野惇子(神戸に本社を置く子供服メーカー「ファミリア」創業者の一人)の足跡がモチーフになっています。
NHKの告知によれば、物語は「実在の人物をモデルとしますが 激動の時代を生きた女性たちの人生の物語として大胆に再構成し登場人物や団体は改称し フィクションとしてお届けします」とのこと。
モデル企業「ファミリア」とは?
「ファミリア」は坂野惇子、田村光子、田村江つ子、村井ミヨ子の女性四人が昭和25年(1950年)に神戸で創業させた企業です。
「ファミリア」は、もともとは「ベビーショップ・モトヤ」という「モトヤ靴店」の一角を間借りした小さなベビー洋品店(赤ちゃんの肌着やベビー服などを2つのショーケースで売っていた)が前身です。
当初は素人感覚で経営されていた小さなベビーショップでしたが、品質の良さもあって成長し、「株式会社ファミリア」として法人化。やがて日本初の子供百貨店となる「銀座ファミリア」を開店させ、皇室御用達のブランドになるなど、日本有数の子供用品店、アパレルメーカーとなり、今日まで続いています。
モデル人物・坂野惇子 父は「レナウン」創業者
ヒロイン・すみれのモデル人物・坂野惇子(1918-2005)は、「あさが来た」のヒロインモデル・広岡浅子に続き、バリバリの「お嬢様育ち」です。
惇子が生まれた佐々木家は、11代にわたり商を営んできた豪商。惇子の父・佐々木八十八(ささき・やそはち)は大阪で繊維卸売業「佐々木営業部」(現在の「レナウン」)を創業させ、大成功を収めた実業家でした。
惇子は、八十八が騒々しい大阪に住むことを嫌って神戸・魚崎に別荘を構え移り住んだことから、神戸で生まれ育っています(大正7年生まれ)。
心配性だった八十八の影響により、惇子は自宅で作ったもの以外は口にすることが許されず、通学にはいつも付き添い人を付けられるなど、少々過保護に育てられたそうです。
戦後の混乱 ベビーショップ開店
惇子は、昭和15年に女学生時代に知り合った坂野通夫(京都帝国大学を卒業、大阪商船に就職。後にレナウンに入社)と結婚すると、昭和17年には長女・光子(てるこ)を出産。不自由のない人生を歩んでいました。
しかし、戦中戦後の混乱(空襲被災、戦後の財産税の課税、預金封鎖など)により貧しい家庭生活を強いられると、自ら稼ぐ道を模索し始めます。
惇子はこうした中で、生家・佐々木家の出入りの靴職人だった神戸三宮「モトヤ靴店」店主・元田蓮の助言を受け、女学生時代の友人らと「モトヤ靴店」の一角で手製のベビー用品を売り始めます(ベビーショップ・モトヤ)。
生活の必要から始めたこの「小さな商い」が、今日まで続くアパレルメーカー「ファミリア」へと繋がっていくのです。
周囲の人々の助け
「ファミリア」が今日まで続く優良企業になるまでには、周囲の人々の多くの手助けが存在しました。
ズブの素人であった惇子らに商いのイロハを教えた「モトヤ靴店」の店主・元田蓮。
帳簿の付け方を教え、ショップの企業化を薦めた夫・坂野通夫(後に「ファミリア」に入社、本格的に経営に参入)。
惇子に西洋の育児知識を授け、より良いベビー用品開発のための ”気付き” を与えたベビーナース・大ヶ瀬久子。
設立間もない「ファミリア」を見出し、出店を促した阪急百貨店社長・清水雅。
そして何より、一緒に会社を立ち上げた田村光子、田村江つ子、村井ミヨ子…。
朝ドラ「べっぴんさん」では、こうした惇子の周囲の人物をモチーフとして創作された登場人物たちが、ヒロイン・すみれとさまざまに関わりながら、ストーリーが展開されます。大阪放送局制作らしい、華やかで楽しい商いの世界が描かれることでしょう。
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