NHK連続テレビ小説「ブギウギ」に登場する花咲少女歌劇団、花咲音楽学校についてまとめます。
ヒロインの鈴子が入団することになる梅丸少女歌劇団(USK)のライバル的な立ち位置にある花咲少女歌劇団。そのモデルは笠置シヅ子も受験した宝塚少女歌劇団(宝塚音楽歌劇学校)と考えられますので、笠置シヅ子との関わりなどを中心にまとめます。
【ブギウギ】花咲音楽学校を受験する鈴子
大阪下町の銭湯「はな湯」の看板娘として育ち、銭湯の常連客を相手に歌や踊りを披露していたヒロイン・花田鈴子(澤井梨丘)。
やがて歌と踊りが大好きだという自身の特性に気がついた鈴子は、小学校卒業後の進路として花咲音楽学校を受験することになります(1927年・昭和2年)。
花咲音楽学校は、人気の歌劇団である花咲少女歌劇団の団員養成学校という位置づけのようです。裕福な家庭の子女がお金を払って通う学校であるため、鈴子は当初、花咲音楽学校に行くつもりはありませんでした。
しかし両親の熱烈な応援を受けた鈴子は、花咲音楽学校の受験を決断。こうして意気揚々と受験会場に足を運んだ鈴子でしたが、そこで人生で初めてと言える不条理さを味わうことになりそうです。
花咲音楽学校の受験者たちはみな背が高く、ルックスに恵まれた女の子ばかり。背が低く身体も小さい下町の芋娘・鈴子とは対照的です。歌と踊りのテストを完璧にこなした自負があった鈴子ですが、結果は思わぬものとなり…。
▼花咲音楽学校の校舎外観は、滋賀県豊郷町の旧豊郷小学校旧校舎群で撮影。「カムカムエヴリバディ」の岡山駅、「べっぴんさん」の女学校校舎のロケ地となったおなじみの建築物です。アニメ「けいおん!」の聖地としても有名。
▼鈴子を受け入れてくれなかった花咲。後に鈴子は花咲の運営母体と思われる日宝(東宝のモデル)から熱烈な引き抜き工作を受けることに…。
【史実モデル】宝塚少女歌劇団に落ちた笠置シヅ子
ヒロイン・鈴子(芸名・福来スズ子)のモデルになっているのは、ブギの女王・笠置シヅ子です。
幼少期から日本舞踊を習い、両親が経営していた銭湯の常連客を相手に歌や踊りを披露しては拍手喝采を浴びていた幼き日の笠置シヅ子。やがて母・うめの勧めもあり、小学校卒業後の進路として1927年(昭和2年)に宝塚音楽歌劇学校を受験しています。
※宝塚音楽歌劇学校は、箕面有馬電気軌道(現在の阪急電鉄)創始者の小林一三が創設した宝塚少女歌劇団(1913年の設立時は宝塚唱歌隊)の団員養成学校。名前からもわかる通り、それぞれ現在の宝塚音楽学校、宝塚歌劇団の前身にあたります。
宝塚音楽歌劇学校は1919年(大正8年)に設立されており、笠置シヅ子がこの学校を受験をした当時(1927年)は学校設立から8年目の黎明期でした。
笠置シヅ子の自伝によれば、宝塚の試験自体は完璧にこなせたようで、歌唱力と踊りのテストは「難なく突破」。しかし体格検査でハネられて最終的には不合格になったのだとか。
シヅ子は背が低く極度の痩せ型であったため、宝塚の過酷すぎる生活に耐えられないのでは、という学校側の判断があったようです。
期待されて送り出された負い目もあったのか、シヅ子は不合格だったという事実を母には言わず「ウチ、あんなとこ好かんさかい辞めてきてしもた。おすましで気取り屋で、性に合わんわ」とトボけたのだとか。
シヅ子はその後も宝塚に対して気に食わない感情を持ち続けたようで、以下のようなエピソードも伝わります。
宝塚に反骨精神 遠征先で「殴り込み」も
笠置シヅ子は宝塚音楽歌劇学校に不合格になった同年、松竹楽劇部(現在のOSK日本歌劇団)生徒養成所に押しかけ同然で直談判して入所を許されています。シヅ子はこの松竹楽劇部で三笠静子という芸名をもらい、長い芸能生活をスタートさせています。
松竹楽劇部といえば、松竹の創業者・白井松次郎が宝塚に対抗して(模倣して)設立した少女歌劇団。
シヅ子は同劇団の音楽部長・松本四郎に「わては宝塚でハネられたのが残念だんね。こうなったら意地でも道頓堀で一人前になって、なんぼ身体がちっちょうても芸に変わりはないところを見せてやろう思いまんね」と訴えかけて入団を許されています。この言葉からもシヅ子の宝塚に対する反骨精神が見て取れますね。
【補足】そもそも宝塚では良家の子女が月謝を払って学校で学ぶのに対し、松竹では最初から職業として給料をもらう前提で養成所で鍛え上げられており、シヅ子としても叩き上げのプロとしてのプライドがあったようです。
宝塚がある阪急沿線は現在もハイソなイメージがあり、大阪の庶民的な下町で育ったシヅ子が反発心を持った理由がわかるかと思います。
シヅ子は松竹楽劇部に入団した後も、自身を受け入れなかった宝塚にさまざまな思いを持っていたようで、以下のようなエピソードも伝わります。
ある時、シヅ子を含む松竹一行が京都の遠征先で定宿に泊まると、その目と鼻の先の豪華宿泊施設に宝塚一行が宿泊していたのだとか。
自身の過去の因縁もあり癪に障ったというシヅ子は、宝塚のスター(三浦時子、橘薫ら)が宿泊する部屋の前まで行き「なんやえらそうに納まって、ちょっとここまで出てきいな!旅は道連れというやないか。同じ大阪から出てきて、そんなに木で鼻をくくらんかて、ええやないか」と殴り込み(笑)をかけたんだとか。
これを聞いた宝塚の女性たちも、オモロイ女の子がきよったと窓からゲラゲラと笑ったそう。結局シヅ子はこの時に殴り込みをかけた宝塚の橘薫とすっかり仲良しになって長年に渡る親交を結んだとのことで、「オモロイ女」笠置シヅ子らしい豪快なエピソードといえます。
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※本ページの情報は2024年4月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。