朝ドラ「ブギウギ」ついに「東京ブギウギ」が誕生 作詞担当の「鈴木ちゃん」って誰?

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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第19週では、スズ子の依頼により羽鳥善一が名曲「東京ブギウギ」を作曲。歌手・福来スズ子の人生を大きく変えていくことになります。

この記事では、ドラマ・史実それぞれにおいて「東京ブギウギ」が誕生した経緯、作詞を担当した「鈴木ちゃん」についてまとめておきます。

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目次

再起をかけるスズ子から作曲依頼 「東京ブギウギ」誕生へ

愛助(水上恒司)が亡くなり愛子が生まれてから3ヶ月。スズ子(趣里)は愛する人を失った寂しさを抱えながらも気丈に過ごし、慣れない子育てに奮闘する日々を過ごしていました。

そろそろ芸能活動を再開してみてはどうかというマネージャー・山下(近藤芳正)の声も聞こえ始めたある日、スズ子は師匠の羽鳥善一(草彅剛)を訪ね、新しい曲を作って欲しいとお願いします。

再起をかけるスズ子の強い思いを知り、どうしたものかと作曲に悩む羽鳥ですが、ある日列車に乗っていると突然メロディが天から降臨。これに「鈴木ちゃん」により明るい歌詞が付けられた「東京ブギウギ」は、スズ子だけでなく敗戦で暗く沈む日本国民に向けた復興ソングとなり、大ヒットしていきます。

【作詞は「鈴木ちゃん」】

後述するように、「東京ブギウギ」の作詞は作詞家の鈴木勝と、その妻で「スイングの女王」とも呼ばれた歌手・池真理子が手掛けています。

ドラマ「ブギウギ」でも羽鳥が「鈴木ちゃん」に「東京ブギウギ」の作詞をしてもらったと語っています(第90回)。羽鳥は以前からスズ子の曲を手掛けている大御所作詞家の藤村薫(宮本亜門)ではなく、曲の性格を考えてあえて「鈴木ちゃん」を指名したようです。

羽鳥によれば、「鈴木ちゃん」は「僕の曲を聴いて10分で書きやがったんだ。まったくあの野郎は面倒くさいヤツだと思っていたけど最高にイカしているよ」とのこと。

「鈴木ちゃん」は牛乳瓶みたいなメガネをかけており、スズ子は覚えていないようですがこれまで何度も会っているとのこと(ドラマ未登場の人物かと思います)。

▼「東京ブギウギ」をヒットさせ、乳飲み子を抱えて歌手として奮闘するスズ子。そんなスズ子に熱烈な共感を寄せる女性たちも登場。

愛弟子のために 服部良一が生み出した「東京ブギウギ」のメロディ

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戦争で多くのものを失い、戦後すぐには最愛の人・吉本穎右を病気で失ってしまった笠置シヅ子。そんな失意の中で生まれた再起の歌が、笠置シヅ子にとって最大のヒット曲となる「東京ブギウギ」でした。

穎右との子・ヱイ子を抱えてどん底にあったシヅ子ですが、それでも愛する我が子のためにもいつまでも泣き暮れていてはいけないと奮起。師匠である作曲家の服部良一に「センセ、頼んまっせ」と新曲の製作を依頼しています。

愛弟子の決意を受け取った服部良一は、「彼女のために、その苦境をふっとばす華やかな再起の場を作ろうと決心」(服部良一「僕の音楽人生」より)。同時に、敗戦の中で悲嘆に暮れる日本人に向けて明るい活力となるような作品を作ろうと作曲を手掛けています。

心がウキウキ弾むような明るいメロディと、世界に響き渡るはつらつとした歌声、そして楽しい踊りと演奏…。戦時の鬱憤を晴らすかのような軽快なメロディを持つ「東京ブギウギ」はこうして生まれ、笠置シヅ子の歌により命が吹き込まれています。

作詞は鈴木勝 妻で「スイングの女王」池真理子が手伝い、書き上げる

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「東京ブギウギ」の作詞は、作詞家の鈴木勝(すずき・まさる)が手掛けています。この人物が「ブギウギ」に登場した「鈴木ちゃん」のモデルです。

「リズムウキウキ」「心ズキズキワクワク」「ブギを踊れば世界は一つ」など、独特のリズム感と言語感覚が散りばめられた賑やかな歌詞が曲の世界観を彩っています。

鈴木勝は、禅文化を海外に紹介したことで知られる仏教学者・鈴木大拙とアメリカ生まれの神智学者・ベアトリス・レイン・スズキの養子として育つと、同盟通信社の特派員として上海に赴任。戦時中に同じ上海にいた服部良一と出会ったことをキッカケに、コロンビアレコードにも出入りするようになっています。

この「東京ブギウギ」の作詞は鈴木勝が手掛けたものとしてクレジットされていますが、実際には鈴木勝が書いたもの(原案)を元に、当時の鈴木の妻で「スイングの女王」として鳴らした歌手・池真理子(いけ・まりこ)が作詞をしたものだそうです。

鈴木勝は服部良一からもらったメロディを前になかなか詞が書けず、それを見かねた妻の池真理子が曲を聞きながら手伝い、大部分を仕上げてしまったのだとか。服部良一は鈴木勝からもらった詞が気に入らず、池真理子とともに大幅な手直しをしたとする説もあり、いずれにしても池真理子が「東京ブギウギ」の誕生に大きく貢献したことは間違いなさそうです。

池真理子は笠置シヅ子より3歳ほど年下で京都生まれ、宝塚少女歌劇団出身の歌手。戦後すぐに「愛のスウヰング」「センチメンタル・ジャーニー」「愛の散歩」などをヒットさせ、「スイングの女王」などと呼ばれています。経歴が笠置シヅ子(大阪育ち→大阪松竹歌劇団→スイングの女王)と似ていますね。

彼女のヒット曲である「愛の散歩」は、実は「東京ブギウギ」よりも前に「まり子ブギ」として発売される予定でしたが、諸事情により発売延期、改題されています。もし「まり子ブギ」が「東京ブギウギ」よりも前に発売されていたら、あるいは池真理子が「ブギの女王」になっていたかも…?

「東京ブギウギ」のリズミカルな名歌詞が「スイングの女王」池真理子によって書かれたと知ると、また曲を聞いた時の印象が変わるかも知れません。

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