NHK連続テレビ小説「花子とアン」第17週より。嘉納伝助(吉田鋼太郎)の元を飛び出した蓮子(仲間由紀恵)は、逃亡生活の中で宮本龍一(中島歩)の子供を身ごもります。
この記事では、宮本龍一と葉山蓮子のモデルとなっている実在の人物・宮崎龍介と柳原白蓮について、その子供のことなどを中心にまとめてみます。
白蓮事件騒動の中、純平を出産した蓮子
世間の騒ぎから身を隠すために甲府のはな(吉高由里子)の実家に身を寄せていた蓮子でしたが、実兄・晶貴(飯田基祐)に見つかり、葉山家に連れ戻されてしまいます。
葉山家にて無事男児・純平(名前は龍一が命名し、はなによって蓮子に知らされた)を出産した蓮子でしたが、監禁状態の中、自らの手で子供を育てる事を許してもらえない辛い日々が始まります。
蓮子の男児出産の経緯ですが、実在のモデル・柳原白蓮とはやや異なっています。以下、柳原白蓮と宮﨑龍介との間に産まれた男児と、その生活について簡単にまとめます。
※この記事には、白蓮の子供が辿る人生のネタバレも多少有ります。
逃亡前に龍一の子を身ごもっていた白蓮
柳原白蓮は宮崎龍一との逃亡よりも前に、すでに宮崎の子供を身ごもっていました。ドラマでは逃亡後に身ごもったと思われる描写がありましたが、これは「朝ドラ」という性質を考慮してのことだと思われます。
経済的困窮を支えた文筆で支えた白蓮、長女も誕生
伊藤伝右衛門は「白蓮事件」発生からわずか10日で身を引き、離婚が成立します。しかし、事件の諸々の後始末には周囲の思惑が絡みに絡み、なかなか解決しませんでした。
大正天皇の従妹であるという白蓮の立場もあって、白蓮を柳原家から離縁させる要求、兄・義光の監督責任問題などが議論されたほか、皇室関係者のスキャンダルという事で右翼団体が騒ぎを起こすなど、次々に問題が起きました。産まれてくる子供の認知問題についても、周囲で喧々諤々の議論が行なわれました。
逃亡後の白蓮と龍介の同棲生活も束の間で、龍介との間を断ち切るべく、龍介不在時に白蓮は柳原家によって連れ出され、長期に渡り監禁されてしまいます。白蓮は葉山家の監視下で長男・香織を出産しますが、その後、白蓮が龍介と幸せな結婚生活を送るようになるまでには、長い時間を要したのです。
この間、龍介と白蓮は連絡が取れない状態であり、長男・香織は兄嫁の縁者に預けられました。
一家三人が揃ったのは出奔二年後
結局、別れ別れになった龍介、白蓮、香織の一家三人が揃うのは逃亡事件から二年後のことでした。さらに白蓮が華族から除籍され平民となり、龍介との婚姻届が提出されるまでには四年後の月日を要しました。
何とか宮崎家に迎えられた白蓮でしたが、龍介の結核再発、龍介の父が残した借金の存在もあり経済的困窮に直面し、大いに苦労したようです。龍介が床に伏していた三年間は、白蓮が執筆や講演活動で稼ぎ、家計を支えたといいます。
大正14年(1925年)には長女・蕗苳(ふき)が誕生。ささやかながらも、龍介とともに幸せな家庭を築いていきます。
長男・香織の戦死 村岡花子も長男を失う
昭和19年(1944年)、早稲田大学に在籍していた長男・香織が学徒出陣。終戦のわずか4日前に鹿児島県の基地にて爆撃を受け、香織は戦死してしまいます。享年は23。白蓮はこの事実を信じられず、ただ呆然としたそうで、髪の毛も真っ白になってしまったそう。
村岡花子も長男・道雄(ドラマでは歩)を6歳目前で病気で亡くしており、ドラマ上で「腹心の友」として描かれた二人は、奇しくも同じように子を失う悲しみを味わう事になります。
なお、長女の蕗苳は無事に育ち、老後の白蓮と龍介は娘夫婦とともに穏やかな日々を送ったようです。
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