5月21日(水)放送のNHK連続テレビ小説「花子とアン」。安東はな(吉高由里子)が甲府の阿母尋常小学校六年生の代用教員として赴任してから一ヶ月が過ぎました。
クラスで貧乏ゆえにいじめられていた生徒・小山たえ(伊藤真弓)が親戚の家に引き取られる事になり、たえは自分を理解してくれたはなの家に別れの挨拶を言いに来ます。
はな、たえは二人で阿母里教会の書庫へ
はなは、自分の子供の頃と同じように本に興味を示すたえを連れ出して「阿母里基督教会」の書庫へと連れて行きます。そこでたえが示した反応は、はなの子供の頃と全く同じもの。たえは夢中で書庫の本を読みあさります。
はな「先生の夢はね、子供も大人もワクワクするような本をいつか自分でつくることなの。」
たえ「へぇー 先生、本作るだけ どんな物語だけ!?聞かしてくりょう」
はな「今け?」
たえ「うん、先生が作ったお話聞かしてくりょう!」
即興で語った「みみずの物語」、その内容
はなは即興で創った「みみずの物語」を語り出します。
あるところに、たいそう太った長いみみずがおりました
「あたしのように立派な体を持ったみみずは、どこにもいやしない
お庭から道端から、どこからどこまで探したって
あたしほどの器量好しは見つからないわ」
こんなことを口にするほどの いばりんぼうでしたから、
お庭じゅうのみみずは、みんなこの太ったみみずが嫌いでした…
たえの機転で主人公は「フト子さん」と命名
はなの創り出した物語に俄然興味を示す、たえ。
たえ「みみずの名前はなんちゅうで?」
はな「ああ…まだ考えてなかったけんど」
たえ「ほれじゃあ”ふとこさん”は?」
はな「”フト子”けえ あは、いいじゃんね」
ここで、はなとたえを探していた朝市が教会に登場し、みみずの物語は中断してしまいます。名残惜しいながらも、家へと帰されるたえ。
たえ「はな先生、ありがとう。この部屋のことも、先生のこともずっとずっと忘れねえ」
『みみずの女王』として物語をまとめ雑誌に投稿
たえの機転により、主人公が「フト子さん」と命名されたこの物語。
この後、親戚に引き取られたたえが手紙で寂しさを訴え「物語の続きが聞きたい」と記しているのを見たはなは、たえがそれを読む事を願ってこの物語を『みみずの女王』として完成させ、雑誌に投稿します。
『みみずの女王』は文芸誌「児童の友」誌で見事入賞を果たし、これをきっかけに、はなの人生は再び大きく動き始めることになります。
村岡花子が創作した童話『みみずの女王』は実在する
なお、この『みみずの女王』は実在のモデル・村岡花子が実際に創作した物語です。
「村岡花子と赤毛のアンの世界」(村岡恵理・編集)の第3章に「子どもたちに捧ぐ」と題して『みみずの女王』『黄金の網』『たんぽぽの目』の童話三作が収録されています。
村岡花子の『みみずの女王』の主人公も「みみずのフト子」なのですが、実はこのお話が結構恐い展開だったりします。そのあたりは以下の記事にまとめてみました。
▶村岡花子作の童話「みみずの女王」の内容が結構ブラック!安東はなの語った物語の続き