NHK連続テレビ小説「花子とアン」第10週(6月2日~6月7日放送)。安東はな(吉高由里子)が小学校の教員を続けながら書き上げた新作童話「たんぽぽの目」が登場します。
この記事では実在する村岡花子作の童話「たんぽぽの目」について説明します。
村岡花子による童話「たんぽぽの目」あらすじ
「たんぽぽの目」は安東はなのモデル・村岡花子による童話作品で、「村岡花子と赤毛のアンの世界」の第3章に収録されています。 前作「みみずの女王」とは少し視点が違い、ありふれた日常の風景が少女の目線によって新鮮に掬い上げられる様子が描かれています。
「花子とアン」6月6日(金)放送回で、はなが朗読していた「たんぽぽの目」の内容は以下の通りです。
百合子は一人っ子でしたから お友達が遊びに来ないときは寂しくてたまりませんでした
誰か遊びに来ないかな と言いながら お庭の木戸から裏の原っぱへ出て行きました
「あたしね おとうさん たんぽぽは子供に似ていると思うの
ちょうちょやハチと一日中 元気に踊っているようじゃありませんか
お日さまが沈むと たんぽぽも目をふさいで眠りますのよ
おとうさんもこれからは たんぽぽを邪魔だなんていわないようにしようね」
おとうさんはやさしく百合子の頭を撫でました
続いて、村岡花子による「たんぽぽの目」のあらすじは以下の通りです。劇中ではなが朗読した内容とほぼ同じです。
一人っ子の百合子(ゆりこ)が庭を眺めると、庭一面にたんぽぽが咲き誇っていました。
百合子はそれをおとうさんに話すと、おとうさんは、「邪魔だから刈り取ってしまったほうがいい」と言います。
百合子が「邪魔じゃありませんよ。きれいじゃありませんか」「おとうさん、ほんとうにきれいよ。元気な人間みたいじゃありませんか」とおとうさんに訴えると、おとうさんは「うん、よし、よし、わかった。もっとたんぽぽのことを話してごらん。たんぽぽが元気な人間のようだっていうのは、おもしろいね。」と百合子の話に耳を傾け始めます。
百合子は「あたし、お歌が大すきなの、おとうさん。あたし、大きくなったら、お歌をつくる人になりたいの。」と言うと、おとうさんは「大きくならなくても、もう今からりっぱに作れるねえ」「今、おとうさんに話してくれたことを、書いてごらん」とやさしく百合子の頭をなでるのでした。
日常を切り取った作品に梶原編集長も絶賛
以上のようなあらすじです。
世界の何もかもが新鮮に見える少女の瑞々しい感性をおとうさんが大切に掬いとってあげて、少女が目指す「創作」への第一歩目を後押ししています。
「花子とアン」の梶原編集長(藤本隆宏)は、この「たんぽぽの目」を読んで「ありふれた日常を切り取った作品に洗練された平凡を感じる、それは非凡に通じる」と絶賛。
かつて「小説家になるには普通過ぎる」と才能を一刀両断された梶原に認められた事で、はなの人生は大きく動き出します。
関連記事
:「The Prince and the Pauper」(王子と乞食) 安東はなが村岡郁哉に渡された英国の本
:村岡花子作の童話「みみずの女王」の内容が結構ブラック!安東はなの語った物語の続き
:『たんぽぽの目』と『爐邉』(ろへん) 安東はなと村岡花子の初めての出版