NHK連続テレビ小説「ひよっこ」で、女優の松本穂香が演じる福島出身の少女・青天目澄子(なばため・すみこ)。
少々気になる「青天目(なばため)」という珍しい名字について、ルーツや意味などを調べてみました。
福島県出身の「なばため」さん
「ひよっこ」に登場する青天目澄子(なばため・すみこ)は、福島県の磐城(いわき)地方の農家出身という設定。
家計を助けるために中学を卒業後に「金の卵」として上京、トランジスタ工場(向島電機)に就職したという、のんびり屋で食いしん坊な女の子です。
早くに母を亡くし父親の再婚により居場所をなくし上京した澄子は、ホームシックにかかりながらも東京で居場所を見つけていき、大きく成長していくことになります。
【追記】
「ひよっこ」で青天目澄子役を演じた新進俳優・松本穂香(大阪府堺市出身、当時20歳)。放送当時はまだ無名であり、同じ事務所の売れっ子の先輩俳優・有村架純とのセット出演のような雰囲気もありました。
松本穂香は「ひよっこ」で大きな注目を集めると、翌2018年にTBS系日曜劇場「この世界の片隅に」で主演に大抜擢。その後も「ミワさんなりすます」「嘘解きレトリック」で主演を務めるなどトップ俳優に成長しています。
・【ひよっこ】青天目澄子(なばため・すみこ)演じる女優・松本穂香は有村架純の妹分
読み方も漢字も色々
青天目と書いて「なばため」さん。見慣れない、聞き慣れない名字ですよね。
「なばため」姓は、ほかにも「なまため」という読むパターンがあり、「日本の苗字読み解き事典」(柏書房)によれば、さらに「なまだめ」、「なまたべ」といった読み方も存在。
書き方も「青天目」以外に「生田目」「天女目」「天生同」「天生目」「生天田目」「生天目」「生畑目」「青天国」など実に様々なタイプが存在するとのこと。
【追記】2026年現在、プロ野球の北海道日本ハムファイターズには生田目翼(なばため・つばさ)という投手が在籍しています。生田目投手は茨城県那珂郡大宮町(現:常陸大宮市)出身で、「ひよっこ」で奥茨城村とされている場所とおおよそ同一地域。後述するように「なばため」姓は北関東から福島県の海側、磐城地方にかけて多く見られる名前のようです。
「なまため」「なばため」姓の歴史
同書によれば、「なまため(なばため)」姓は北関東から磐城地方(福島県)にかけて多く、
①栃木県芳賀郡益子町に生田目という地名がある
②「新編常陸国志」に生田目の姓が見え、応永年間(おうえい。1394年-1427年)の人であることがわかっている
③元亀年間(げんき。1570年-1573年)に佐竹家臣に生田目姓の人がいた
ということはわかっているものの、具体的なルーツはわからないとのことです。
また、「全国名字大辞典」(東京堂出版)によれば、生田目【なまため・なばため】姓は栃木県の名字で、下野国芳賀郡生田目(栃木県芳賀郡益子町)発祥とのこと。戦国時代、宇都宮氏や佐竹氏の家臣に生田目氏の名が見え、現在は栃木県北の大田原市(旧湯津上村域)を中心に見られる、とのことです。
※Wikipediaには地名由来と思われる「なばため」姓のルーツ、意味について以下のようなものが書き込まれています。
「なばため」の語源は「なば」が「隠(なば)る」で「た」は「田」そして「め」は「間」のような意味で、隠田を意味するという。
(Wikipediaより引用)
武田氏滅亡がルーツ?
▼昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」で、偉大な父(信玄)を継ぐ「二代目」の悲哀を平岳大が好演し、注目が集まった武田勝頼。小説「武田家滅亡」は、勝頼の妻・桂姫の視点を中心にして書かれた良作。
「生天目」の姓にはこんな「ルーツ」も伝わります。
それによれば、山梨県甲州市の天目山で武田氏が滅亡(武田勝頼討死、多くの家臣も戦死)した際に、武田家臣の生き残りが再興を誓って「生天目(なばため)」姓を名乗った(天目山に”死ぬ”のではなく、”生きる”ことを誓った?)とか。
※Wikipediaによれば声優の生天目仁美(なばため・ひとみ)は、この天目山で生き延びた「生天目氏」の末裔とのこと。
以上のように、関東方面(栃木県が中心か)で発祥したと考えられる「なまため」「なばため」姓が、こんにちも栃木や福島方面を中心に存在しているようです。
「ひよっこ」の青天目澄子は福島県磐城地方出身という設定ですので、「なばため」一族の分布を考えれば不自然ではない名前かと思います。


