NHK連続テレビ小説「ひよっこ」では、東京オリンピック(1964年)の聖火リレーが通過しないという「奥茨城村」で、みね子や三男たちの主導によって手作りの聖火リレーが行なわれます。
この記事では、史実でも本当に奥茨城村(実際には高萩市とその一帯地域)付近を東京オリンピックの聖火が通過しなかったのか、茨城県内の聖火通過ルートをまとめます。
アテネから沖縄へ 東京五輪の聖火
1964年(昭和39年)に開催された東京オリンピックでは、8月21日にギリシャ・アテネで採火された聖火が、イスタンブール(トルコ)、テヘラン(イラン)、ニューデリー(インド)、バンコク(タイ)など11の中継地を経て、9月7日に沖縄(当時はアメリカの占領地)に到着しています。
聖火はそこから鹿児島、宮崎を経由して北海道の千歳まで届けられ、この鹿児島、宮崎、千歳の三ヶ所が聖火リレーのスタート地点となりました。
国内の聖火リレールートは4コース
国内における聖火リレーのコースは、全都道府県を巡ることを前提に設定された4つ。
第1、第2コースはそれぞれ鹿児島(日本海ルート)、宮崎(太平洋ルート)を起点に西日本各地を通り、東京へと入るルート。第3コースは北海道・千歳を出発し、青森から日本海側各県に抜け、群馬、埼玉を経て東京へと至るルートでした。
茨城県を通過したのは東北の太平洋側を通る第4コースで、北海道→青森→岩手→宮城→福島→栃木→茨城→千葉を経て東京へと至るものでした。(※ここまでJOCのホームページを参照)。
茨城県内の通過ルートは?
では、茨城県内はどのようなルートを通ったのでしょうか。
牛久市で市議会議員をされているという方のサイト(この方は実際に聖火リレーの正走者だったそうで、当時のリレーの様子が詳細に記録されています。興味がある方はぜひサイトをご覧下さい)によれば、茨城県内の聖火リレーは正走者95名、総数2185名が選手となり、「(栃木県)~結城~下館~笠間~水戸~石岡~土浦~江戸崎~東~(千葉県)」というルートを辿ったそうです。(※ほかに岩瀬町、阿見町、美浦村などを経由したとの情報有り。)
▲かなり大雑把ですが、聖火リレー@東京五輪1964のイメージ地図をつくってみました。茨城県の中西部から県内(結城)に入り、そこから下館などを東へ。筑波山の北を通る国道50号線などで笠間から県都・水戸方面に抜け、そこから霞ヶ浦の西岸を見ながら石岡、土浦、美浦を抜け、首都圏方面(千葉県)へと入ったことになります。
「奥茨城村」は大きくコース外
「ひよっこ」に登場する架空の村「奥茨城村」は、茨城県北部の太平洋も近い高萩市、常陸太田市周辺がモチーフ、ロケ地になっています。
残念ながら聖火は福島・いわきから海沿いを水戸へと抜ける「常磐ルート」は採用されず、高萩付近も聖火のルートからは大きく外れています。よって、劇中の奥茨城村も、東京オリンピックの聖火ルートからは大きく外れているといっていいでしょう。
関連記事
・【ひよっこ】昭和39年当時の物価、給与水準は?谷田部家の年収は30万円弱
・【ひよっこ】奥茨城村はどこにある?実在するの?
・【ひよっこ・ロケ地】上野駅の撮影セットは浜松市・浜松オートで