NHK連続テレビ小説「風、薫る」第5週からの主な舞台となる、梅岡(うめおか)女学校付属看護婦養成所。ヒロインのりんと直美は、この看護婦養成所に通ってトレインドナースへの第一歩を踏み出すことになります。
この梅岡女学校付属看護婦養成所の校舎外観のロケ地、モデルになっている女学校などをまとめます。
捨松に見出され看護婦養成所に入学する りんと直美
大山捨松(多部未華子)にトレインドナースの才能を見出され、新しく出来るという看護婦養成所(二年制)への入学を勧められたりん(見上愛)と直美(上坂樹里)。
それぞれに抱えている事情があり即決は出来なかったものの、捨松の熱意を受け取った二人は新設された梅岡女学校付属看護婦養成所への入学を決意します。
こうして梅岡女学校付属看護婦養成所に第一期生として入学した二人は、この学び舎で良き教師や仲間たちに恵まれ、トレインドナースとしての第一歩を歩み始めることになります。
▼ドラマの原案となっている「明治のナイチンゲール 大関和物語」。大関和、鈴木雅らの看護婦養成所時代の青春の日々が描かれています。
【ロケ地①】梅岡女学校の建物外観 → 土浦第一高校(旧制土浦中学校)本館で撮影
▼梅岡女学校本体の洋風な校舎は土浦第一高校本館で撮影。
りんと直美が通うことになる看護婦養成所は、梅岡女学校の付属として新設された養成所という立ち位置。劇中ではハイカラな洋館・梅岡女学校の校舎がたびたび登場します。
この梅岡女学校の校舎外観は、茨城県土浦市真鍋4丁目にある県立土浦第一高校(旧茨城県立土浦中学校)本館で撮影されています。
明治37年(1904年)に建てられた本館は、ゴシック様式を基本としたデザインで国指定重要文化財。設計者は辰野金吾の弟子で茨城県技師だった駒杵勤治で、ドイツ風の下見板張りの外壁が特徴的な洋館です。
レトロで可愛らしい外観であり、首都圏からも比較的近いことなどから、県立土浦第一高校本館はたびたびドラマのロケ地となっています。
2025年のNHK朝ドラ「あんぱん」では、ヒロインののぶ(今田美桜)が地元の高知で通う高知県高智女子師範学校の校舎外観として登場。また、2020年の朝ドラ「エール」ではヒロインの音(二階堂ふみ)が通う東京帝国音楽学校の校舎外観として、この建物が使われています。
【ロケ地②】梅岡女学校付属看護婦養成所の建物 → 府中市郷土の森博物館・旧府中町役場庁舎(東京都府中市)で撮影
#東京文化財ウィーク 2025【通年公開】「旧府中町役場(府中市)」は、府中市郷土の森博物館に移築された和洋折衷建築の庁舎。細部の意匠や裏にある和風の付属舎などが特徴です。
— 東京都 子供・若者・教育 (@tocho_kyoiku) October 28, 2025
🍂公開日時:9:00~17:00 休館日あり
🍂最寄り駅:分倍河原駅
🍂料金:300円https://t.co/6kUVOsQtFr pic.twitter.com/opETy2SYIG
梅岡女学校の校舎からさらに裏へと進んだところにある、付属看護婦養成所の小さな木造建物校舎。いかにも急ごしらえといった感じの建物です。
この付属看護婦養成所の建物外観は、 府中市郷土の森博物館内(東京都府中市南町)にある「旧府中町役場庁舎」で撮影されているようです。※府中市郷土の森博物館は多くの古い建物が移築されています。
旧府中町役場庁舎自体は洋風の建物ですが、その裏側には木張りの和風木造平屋(宿直室?)があり、それが梅岡女学校付属看護婦養成所の建物として使われているようですね。第21話でりん、直美たちが初めて看護婦養成所の建物の前に立った際に、その背後に府中市郷土の森博物館内にある旧島田家住宅(島田薬舗)の姿も見えています。


朝ドラのあの回をもう一度見直したいなあ…
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【モデル】桜井女学校付属看護婦養成所 女子学院の前身校
「風、薫る」に登場する梅岡女学校付属看護婦養成所は、Wヒロインのモデル人物である大関和(おおぜき・ちか)、鈴木雅(すずき・まさ)が通った桜井女学校付属看護婦養成所がモデルになっています。
1876年(明治9年)、教育者の櫻井ちかにより設立されたキリスト教系女学校・桜井女学校(現在の女子学院中学校・高等学校の前身。東京都千代田区四番町)。
1886年(明治19年)に教育者の矢島楫子(かじこ)、アメリカ人宣教師のマリア・ツルーらにより同校に付属看護婦養成所が開設されると、教会を通じてツルーと知り合っていた大関和や、夫と死別していたクリスチャン・鈴木雅ら8人が第一期生として養成所に入学しています。
桜井女学校付属看護婦養成所は、ナイチンゲール方式の看護を教える全寮制の学校でした。
まだまだ看護という職業に偏見が大きかった時代ですが、大関和や鈴木雅らはこの養成所でスコットランドのナイチンゲール看護学校を卒業した看護婦・アグネス・ヴェッチから先進的で専門的な教育を受けるとともに、掃除や洗濯、料理など生活の基礎を叩き込まれ、日本初のトレインドナースへの道を歩み始めています。
※この同時期に東京では「慈恵医院看護婦教育所」が、京都では「京都看病婦学校」(同志社の新島襄が設立)が創設され、「東の慈恵、西の同志社」と呼ばれる存在になっています。ともに実習が行える併設、系列の病院を持っていましたが、桜井女学校付属看護婦養成所は併設の病院がありませんでした。そのため、第一期生はアグネス・ヴェッチのツテにより帝国大学医科大学附属第一医院で実習を行っています。
※「風、薫る」では、ヒロインの二人が大山捨松に誘われる形で看護婦養成所に入学します。脚本を担当する吉澤智子氏によれば、大関和、鈴木雅と大山捨松との間に接点があったかどうかははっきりとはわからないとのこと。一部ネットの情報では、大関和が鹿鳴館の手伝いをしていた頃に大山捨松と知り合い、鹿鳴館の上流階級の婦人たちから影響を受けてトレインドナースを目指したとする言及もあります。
桜井女学校付属看護婦養成所は、第一期生が卒業した頃にアメリカの伝導協会から廃止を伝える手紙が届いています。実習を行える併設の病院がなかったことが養成所廃止の大きな理由であったともされます。
本体である桜井女学校は、1889年(明治22年)に新栄女学校と合併して女子学院となり、現在の女子学院中学校・高等学校(東京都千代田区一番町)へと発展。こんにちまでミッション系女子教育の名門として、多くの女性を教え育てています。
女子学院中学校・高等学校のホームページには、養成所のOGである大関和の特集ページが開設され、その功績を今に伝えています。
