2020年放送のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」に登場する関白・近衛前久(このえ・さきひさ)の人物像についてまとめます。
近衛前久を演じるのは、俳優の本郷奏多(ほんごう・かなた)です。
アクティブで破天荒な公家・近衛前久
近衛前久といえば、藤原氏嫡流で公家の家格の頂点だった「五摂家」(近衛家・九条家・二条家・一条家・鷹司家)のひとつ、近衛家の生まれ(近衛家17代当主)。
関白、太政大臣の近衛稙家を父に、室町幕府第13代将軍・足利義輝(向井理)、第15代将軍・足利義昭(滝藤賢一)を従兄弟に持ちます。また、前久の姉は義輝の正室であるなど、近衛家と足利将軍家とは代々密接な関係を持っています。
前久は公家の出ながらアクティブ、豪放で活動的な人物だったことで知られます。越後の長尾景虎(後の上杉謙信)と意気投合し「血書」の盟約を交わすと、関白の職にありながらも越後に下向。さらに景虎の関東平定を助けるために上野、下総に赴くなど、大胆な行動を見せています。
足利義昭、二条晴良との対立、信長との親交
「麒麟がくる」では、物語中盤の大きな転換点となる「永禄の変」以降、前久が物語のキーマンとなっていきそうです。
永禄の変は、将軍・足利義輝が三好三人衆(三好長逸・三好宗渭・岩成友通)により殺害された事件。前久は政変の罪を問われることを恐れた三好三人衆から頼られますが、足利義昭や二条家当主・二条晴良(小藪千豊)から義輝の死に関与しているとの疑いを持たれると、義昭により朝廷から追放をされてしまいます。
その後、足利義昭、二条晴良が織田信長(染谷将太)との対立により失脚すると、前久は信長の奏上により帰洛。以降、前久は趣味の鷹狩りなどを通じて信長との親交を深め、石山本願寺の開城を実現させた前久のことを信長が大きく評価するなど、二人は密接な関係性を築いていきます。
【キャストビジュアル 第2弾】
近衛前久(このえ・さきひさ)
本郷奏多
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「麒麟がくる」前久の見どころ
「麒麟がくる」では、前述した将軍殺害をめぐる足利義昭、二条晴良との激しい対立、それに持ち前の大胆な行動力による政治への介入などが近衛前久の見どころとなっていきそうです。そして、密接な関係を築くであろう織田信長とのやり取りも楽しみです。
また、劇中の架空人物である伊呂波太夫(尾野真千子)は、幼少期に近衛家に拾われたという設定。前久とは姉弟のような関係で育ったとのことで、伊呂波太夫を通じて十兵衛(長谷川博己)、駒(門脇麦)との交流も描かれそうです。
(余談)「麒麟がくる」で描かれるかはわかりませんが、後に羽柴秀吉が日本初の「武家関白」となった際には、秀吉はすでに引退していた前久の猶子になるという形で関白となっています。
俳優・本郷奏多
近衛前久を演じるのは、宮城県仙台市出身の29歳の俳優・本郷奏多(ほんごう・かなた)です。
地元仙台でキッズモデルとして活躍した後に、スターダストプロモーションに所蔵。子役・俳優として本格的に活動を開始しています。
2002年に映画「リターナー」で俳優デビューを果たすと、「HINOKIO」(2005年)の岩本覚役、「テニスの王子様」(2006年)の越前リョーマ役、「青い鳥」(2008年)の園部真一役など、多くの作品で主演を務めています。また、「NANA2」(2006年・岡崎真一/シン 役)、「GANTZ」(2011年・西丈一郎役)や「進撃の巨人」(2015年・アルミン役)などの人気映画にも多数出演。
テレビドラマ「ヒミツの花園」(2007年・片岡陽役)、「生徒諸君!」(2007年・青木公平役)、「なぞの転校生」(2014年・山沢典夫役=主演)、「アカギ」(2015年・赤木しげる役=主演)、「ラブホの上野さん」(2017年・上野さん役=主演)などでも活躍。NHK大河ドラマは初出演となります。
▼朝ドラ「エール」の主題歌「星影のエール」を手掛けているGReeeeNの、2008年発表の曲「涙空」のPV。若き日の本郷奏多が登場します。