10月10日(金)放送のNHK連続テレビ小説「マッサン」より。前日の放送回でも流れていたスコットランド民謡「故郷の空」について。
10月9日(木)の放送ではエリー(シャーロット・ケイト・フォックス)と田中優子(相武紗季)が縁側で話し込むシーンで、10日(金)放送回ではマッサン(玉山鉄二)とエリーのスコットランド時代の回想シーンで口ずさまれ、流れていた曲です。
誰かさんと誰かさんが
日本人にとっては、「故郷の空」というよりは「麦畑」、あるいは「横断歩道で流れるあのメロディ」と言ったほうがわかりやすいかも知れません。
Comin’ Thro’ the Rye
この曲は古くから知られるスコットランド民謡で、曲自体は1790年代につくられたものです。原曲の題名は「Comin’ Thro’ the Rye」。スコットランドでの原詞は、
麦畑で男女が出会い、口づけをしてもいいじゃない、という内容。
背丈の高い麦畑に男女が入り込み、こっそりと…♥。という少々過激な「猥歌」と言えます。
スコットランドの人々は古くから「男女の事柄」に対し大らかなようで、「Comin’ Thro’ the Rye」はライ麦畑の内側で起こる「出来事」を明るく歌い上げた民衆の歌なのです。
「故郷の空」、「麦畑」、ドリフターズ
日本においてこの歌は明治中期に「明治唱歌 第一集」に収められ、以降小学唱歌として広く親しまれてきました。
(1番歌詞引用)
夕空晴れて秋風吹き
月影落ちて鈴虫鳴く
思へば遠し故郷の空
ああ 我が父母いかにおはす
(2番歌詞引用)
澄行く水に秋萩たれ
玉なす露は ススキに満つ
思へば似たり 故郷の野邊
ああわが弟妹( はらから )たれと遊ぶ
スコットランドの歌詞内容から一転、日本での歌詞は故郷を思う大真面目な歌。
「マッサン」劇中でもスコットランド歌詞で歌う場面と、日本語歌詞で歌う場面が登場します。スコットランドでエリーが歌う「Comin’ Thro’ the Rye」は、あるいは恋人になった二人がふざけながら歌っていたのかも知れません。逆に日本でエリーが口ずさむ「故郷の空」は、文字通り遠い故郷を思い起こす歌となるのです。
戦後、スコットランド原詩に近い形で日本語の歌詞が改作されました。これが現在でも親しまれる「麦畑」です。
ドリフターズ世代にとっては、なかにし礼作詞によりドリフターズが歌ったもののほうが親しみがあるでしょう。
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