NHK連続テレビ小説「おちょやん」第19週から登場する女優・朝日奈灯子(あさひな・とうこ)についてまとめます。
朝日奈灯子は女優の九重京子(渋谷喜久栄夫人)がモデルになっている可能性があります。この九重京子という人物は渋谷天外、浪花千栄子夫妻の人生に大きな影響を与えたことで知られますので、そのあたりの経緯などもまとめます。
鶴亀歌劇団出身 女優・朝日奈灯子
終戦から3年が経つと、鶴亀の大山鶴蔵社長(中村鴈治郎)は再建された「新えびす座」の起爆剤として、新しい劇団「鶴亀新喜劇」を発足させます。
鶴亀歌劇団の出身だという朝日奈灯子は、鶴亀新喜劇に新規に参加する役者の一人です。空襲で母と妹を失った灯子は、千代たちが戦後すぐに道頓堀の焼け野原で演じた芝居を見て感動を覚え、大山社長に相談の上、志願して新劇団入りをしたとのこと。
千代は必死に芝居に打ち込む後輩女優・灯子のことを見守っていきますが、なぜか灯子は千代に対し「あんたの顔なんか見たないんや!」と強烈に拒絶。やがて脚本が書けずに悩んでいた一平が灯子の家から出てくる姿が目撃され…。
▷朝日奈灯子を演じるのは、スターダストプロモーションに所属する女優の小西はる。大阪府出身で、これまでTBSドラマ「G線上のあなたと私」の清水結愛役や、NHKドラマ「いだてん」「裕さんの女房」などに出演しています。朝日奈灯子は物語上重要な役柄と予想され、小西はるの芸能人生にとって大きな転機となるかも知れません。
渋谷天外の二人目の妻・九重京子がモデルか
朝日奈灯子は、一平のモデルである2代目渋谷天外の二人目の妻・九重京子(ここのえ・きょうこ。渋谷喜久栄夫人)がモデルになっている可能性があります。
天外は妻の浪花千栄子(千代のモデル)と二人三脚で「松竹家庭劇」「すいーと・ほーむ」「松竹新喜劇」などの劇団を創り上げていきますが、生来の女好きのクセは抜けませんでした。
劇団女優・九重京子が妊娠 千栄子と離婚
1948年(昭和23年)に発足した松竹新喜劇においても、天外は劇団内の女優に次々と手を出すなどしており、千栄子はこれら「火遊び」を黙認していました。
ところが、千栄子が可愛がっていた松竹新喜劇の後輩女優・九重京子(松竹歌劇団の男役出身で、華やかな雰囲気の女優だった)に天外が手を出し、妊娠させてしまったことだけは許せませんでした。
劇団の看板女優となっていた千栄子は、天外と大喧嘩の末に松竹新喜劇を退団し、天外と離婚。これを機に千栄子は一時芸能界から姿を消してしまいます(しばらく京都に潜伏した後に漫才師・花菱アチャコとのラジオドラマで復活)。天外の方も40歳を超えて初めて出来た自分の子供ということもあり、千栄子を捨てる形で九重京子との結婚を選んでおり、なかなかに修羅場な展開を見せています。
天外の妻となった九重京子(渋谷喜久栄夫人)は松竹新喜劇を退団し、長男・渋谷成男、次男・渋谷喜作を出産。この次男の喜作が「おちょやん」に守衛役で出演していた3代目・渋谷天外です。
千栄子は後年、京都・嵐山で開いた自身の料亭の庭石に「渋谷天外」の名を刻み、毎日踏みつけるほどに元夫のことを憎み続けたそうです。
今後の展開は不明 千代は新喜劇から姿を消す
第21週の週タイトルが「竹井千代と申します」であること、千代が鶴亀新喜劇から去り、一平も新しい生活を始めることなどから、二人の離婚はほぼ確実と言えそうです。
あらすじを見た限りでは、脚本が書けずに苦悩していた一平が灯子に甘えてしまい、結果灯子が妊娠。それを一平が責任を取る形をとり、千代と離婚するという流れになるのではないかと予想します。
今後、千代は一平との関係が破綻して芝居の世界から一時去り、後に漫才師・花車当郎(塚地武雅)とのラジオドラマ「お父さんはお人好し」で復活するという展開が予告されており、この部分に関しては大筋で史実通りとなりそうです。