「おちょやん」須賀廼家千之助 アドリブ連発、お婆さん役が得意の曽我廼家十吾がモデルか

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NHK連続テレビ小説「おちょやん」で星田英利が演じる喜劇役者・須賀廼家千之助(すがのや・せんのすけ)の人物像をまとめます。

千之助は、ハチャメチャなアドリブ芸を連発し、お婆さんキャラなどを持ちネタに一時代を築いた喜劇役者・曽我廼家十吾(そがのや・じゅうご)がモデルと考えられます。

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破天荒な須賀廼家千之助 お婆ちゃん役が十八番

須賀廼家千之助(星田英利)は、一平の父・初代天海天海(茂山宗彦)とともに「天海天海一座」の躍進を支えた人気の喜劇俳優です。初代天海が亡くなった後も「天海天海一座」を牽引する千之助ですが、不入りが続くと一座を見限り、千秋楽を前にこつ然と姿を消してしまいます。

千之助という役者を端的に言い表すとすれば、天才肌のトラブルメーカー。舞台では共演者にお構いなしで突飛なアドリブを連発して爆笑をかっさらい、私生活でもハチャメチャで破天荒、周囲と軋轢を生みながらも我が道を歩みます。

千之助と一平(成田凌)、千代(杉咲花)は後に「鶴亀家庭劇」という劇団の旗揚げに参加し、「家庭劇」という新しいスタイルの喜劇を模索していきます。

新しい形の喜劇を創り出したい一平と、自ら築き上げてきた芸に絶対の自信を持ち、一平の脚本を頭ごなしに否定する千之助。二人は盟友でありながら最大のライバルとしてバトルを繰り返し、やがて「鶴亀新喜劇」を創り上げていきます。

▼初代天海天海(中)の盟友として天海天海一座で活躍していた千之助(左)。初登場となった第7回の公演シーン(親子雀?)では、さっそく千之助の十八番、お婆ちゃんネタが見られました。

モデルは渋谷天外のライバル・曽我廼家十吾か

千之助のキャラクター設定から、そのモデルは「松竹家庭劇」「松竹新喜劇」を二代目・渋谷天外(天海一平のモデル)とともに強烈に牽引した天才喜劇役者・曽我廼家十吾(そがのや・じゅうご)ではないかと考えられます。

こんにちの喜劇の元祖の一人、曽我廼家十郎の弟子として二代目・渋谷天外と出会った十吾。永井茶釜との「分福茶釜一座」、超人気劇団「五郎劇」などで活動した後に、松竹から「松竹家庭劇」立ち上げの中心人物に指名されると、懇意になっていた天外を新劇団のパートナーとして誘っています。

盟友だけど大喧嘩の繰り返し…

「松竹家庭劇」に始まり、戦後の「松竹新喜劇」へと続く天外、十吾の強力タッグ。

海外の文芸作品などから想起する新しいインテリ喜劇を追い求める天外と、古来の俄をベースとし物語の筋を無視したハチャメチャなアドリブ芸を連発する十吾は繰り返し衝突し、長年劇団内でイニシアチブを奪い合っています。

「松竹家庭劇」時代には険悪な関係の末に「すき焼きの食べ方」で揉めて大喧嘩となり、天外が劇団を去ってしまうという有名エピソードが残るほど、二人の関係は長年に渡り危うい状態にありました。(※家庭劇時代は十吾のお婆さん役などが人気となり、客入りの面で十吾が結果を出していたため、天外は途中から十吾のやり方に従うようになっていた。)

戦後に喜劇界の大再編により「松竹新喜劇」が誕生し(昭和23年)、再び天外と十吾がタッグを組むと、当初は十吾のお婆さん芸が観客の笑いと涙を誘い、新劇団の人気を押し上げています。

やがて文芸路線を打ち出す天外が認められ始めると、これを面白くないと思ったのか十吾は松竹新喜劇を脱退(昭和31年)。ついに長年の名コンビは終焉を迎えています。

浪花千栄子も鍛えられた「アドリブ芸」

俄の役者出身である十吾は、共演者も混乱させるような強烈なアドリブ芸が得意でした。

「松竹家庭劇」「松竹新喜劇」で十吾と共演を重ねた浪花千栄子(千代のモデル)は、こうした十吾の奇天烈なアドリブ芸に随分鍛えられたそうです。

戦後にラジオドラマ「アチャコ青春手帖」などで漫才師・花菱アチャコと共演をすると、千栄子は十吾との鍛錬の成果(?)もありアチャコの繰り出すアドリブに柔軟に対応。機転の利いた軽妙な演技を見せ、「大阪のお母さん」女優として大きな人気を得るキッカケとなっていきます。

※補足:「天海天海一座」のモデル劇団である「楽天会」は、初代渋谷天外(一平の父・初代天海天海のモデル)と中島楽翁という役者が二枚看板でした。この楽天会に曽我廼家十吾(須賀廼家千之助のモデル)は参加していません。ドラマの千之助は曽我廼家十吾をモデルとしつつ、初代渋谷天外と盟友だった中島楽翁の要素も取り入れているものと考えられます。また、千之助はかつて万太郎と「須賀廼家兄弟一座」を組んでいたという設定であり、曽我廼家五郎と曽我廼家兄弟劇を生み出した曽我廼家十郎の要素も取り入れていそうです。

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