NHK連続テレビ小説「エール」2020年5月12日の放送(第32回)でプリンス(山崎育三郎)と夏目千鶴子(小南満佑子)が歌った歌劇「ドン・ジョバンニ」の曲「お手をどうぞ」についてまとめます。
プリンスと千鶴子が歌った「ドン・ジョバンニ」
この日の放送では、東京帝国音楽学校に入学した音(二階堂ふみ)たち新入生の初々しい授業風景が描かれています。
授業では音楽学校教師(高田聖子)がモーツァルト作曲による歌劇「ドン・ジョバンニ」について解説。そこに乱入したのが、「プリンス」と呼ばれる上級生(山崎育三郎)でした。
プリンスは「せっかくなので」と噂の実力派新入生・夏目千鶴子(小南満佑子)を歌の相手に指名し、授業内容にあわせてオペラ「ドン・ジョバンニ」の曲「お手をどうぞ」を熱唱。二人の圧倒的な歌唱力は、新入生たちの度肝を抜いています。
モーツァルト作曲による傑作オペラ
「ドン・ジョバンニ」といえば、稀代の音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲によるオペラとして有名(他の作曲家たちも「ドン・ジョバンニ」をテーマにオペラを多数作曲をしていますが、モーツァルトのものが特に有名)。1787年にプラハで初演された歴史ある歌劇で、モーツァルトの四大オペラのひとつに数えられています。
ストーリーは、会う女性をことごとく口説いては捨ててきた放蕩貴族の主人公ドン・ジョバンニが、最後には天罰を受けて地獄に落ちていくというもの。
喜劇と悲劇が入り混じりつつ深い人間への洞察を含む物語は傑作とされ、特にモーツァルトによる音楽は夜の墓地の情景や、石像が話したり歩いたりといった超自然的な描写が秀逸といわれます。
村娘・ツェルリーナを誘惑「お手をどうぞ」
5月12日の放送でプリンスと夏目千鶴子が歌った歌は、オペラ「ドン・ジョバンニ」二幕全26曲のうち、第1幕第9場で登場する「お手をどうぞ」。
口説いた女性たちを数えてカタログにするのが生きがいの放蕩貴族ドン・ジョバンニは、今まさに農夫・マゼットと結婚しようとしていた村の娘・ツェルリーナに目をつけると、さっそくツェルリーナを自分の屋敷へと誘います。この時に歌われるのが、「お手をどうぞ」です。
歌詞の内容は、自分の屋敷で手を取り合おう・愛しい人よと誘うドン・ジョバンニの誘惑に対し、行こうかやめようか・自分は幸せになれるのか、と迷いに迷うツェルリーナの心の揺れが歌われています。
農夫・マゼットが可愛そうと逡巡しながらも、結局はドン・ジョバンニの誘惑に乗ってしまうツェルリーナ。プリンスと夏目千鶴子は爽やかに「お手をどうぞ」を歌っていましたが、実はなかなかに罪作りな歌なのです。
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