NHK連続テレビ小説「なつぞら」第2週放送より。
なつが学校の「映画会」で初めて見ることになる漫画映画「ポパイのアリババ退治(ポパイ アリ・ババと40人の盗賊)」についてまとめます。
この作品を見たことが、後々のなつの人生に大きな影響をもたらしていきます。
アニメとの出会いは「ポパイ」
ようやく十勝での生活に慣れ始めた頃、なつは学校で開催された映画鑑賞会で一本のアニメーション作品に出会い、絵が動くアニメーションの世界に衝撃を受けることになります(昭和21年・1946年)。
なつが見た作品は、アニメーションの先進地・アメリカで1937年に公開されたカラー漫画映画「ポパイのアリババ退治」(「ポパイ アリ・ババと40人の盗賊」。原題:Popeye the Sailor Meets Ali Baba’s Forty Thieves)です。
イスラムの古典「アリババと40人の盗賊」がモチーフ
「ポパイのアリババ退治」は上映時間が約17分の作品で、イスラム世界に古くから伝わる物語の一つ「アリババと40人の盗賊」がモチーフとなっています。
アニメの内容は、ポパイの宿敵・ブルート率いる盗賊団にヒロイン・オリーブがさらわれ、ポパイが助け出すという痛快アクション物。軽快なギャグも随所に散りばめられ、誰もが楽しめるエンターテインメント作品となっています。
※元となる古典「アリババと40人の盗賊」の物語は、Wikipediaにあらすじが掲載されていますのでご参考に。割と血なまぐさい話ですが(笑)、人類が後世へと伝えてきた物語の中でも有名なものの一つですね。
▼「ポパイのアリババ退治」のフル動画を貼っておきます。戦後すぐの十勝でこんな美しいアニメーションを見たら、そりゃあ感動しますよね。※フライシャー・スタジオの倒産により初期ポパイ作品の多くが著作権を失い、パブリックドメインとなっています。
ディズニーのライバルだったフライシャー兄弟
「ポパイのアリババ退治」は、1920年代に設立されたフライシャー兄弟(マックス・フライシャーとデイブ・フライシャー)による会社「フライシャー・スタジオ」により制作されました。
フライシャー・スタジオは、アメリカン・アニメーション黄金期の始まる1930年代から40年代にかけて、あのウォルト・ディズニー・プロダクションに唯一対抗しうる制作会社だったと言われています。
フライシャー・スタジオは「ベティ・ブープ」や「ポパイ」、「スーパーマン」といった超人気シリーズを手がけ、今や世界的なキャラクターであるミッキーマウス物に匹敵する人気作品を輩出し続けました。
あの宮崎駿監督もフライシャー兄弟から多大な影響を受けており、氏の作品「天空の城ラピュタ」や「ルパン三世/さらば愛しきルパンよ」に登場する腕の長いロボット兵も、フライシャーの1941年のアニメ「スーパーマン」のロボットに影響を受けた(オマージュ?)と公言しています。
※フライシャー・スタジオは第二次世界大戦開戦の時期に興行成績の不振などが重なり、スタジオは閉鎖しています。現在はキャラクターの使用認可を取り扱う名目のみの企業「フライシャー・スタジオ」としてマックス・フライシャーの孫が経営しています。
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