NHK連続テレビ小説「エール」で、片桐仁が演じる従軍記者・大倉憲三についてまとめます。
大倉憲三は裕一に「栄冠は君に輝く」の作曲を依頼するという重要な役割を演じるのですが、実在のモデルが存在しますのであわせてまとめておきます。
戦地で裕一と出会う 従軍記者・大倉憲三
大倉憲三は、戦時中に戦地で裕一と出会うことになる従軍記者。戦後、大倉は全国高校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」の作曲を裕一にオファーするという重要な役割を演じます。
過酷な戦争取材体験を経て、なぜ大倉が裕一に作曲を依頼することになるのか、その経緯が注目されます。
▼お笑いコンビ「ラーメンズ」で芸人として活動するほか、俳優、声優、彫刻家としても幅広く活躍する片桐仁。NHK朝ドラは「ゲゲゲの女房」の貧乏神・大蔵省の男・只野役、「とと姉ちゃん」の電器店店主役に続く出演。
『真珠の耳飾りの仁』 pic.twitter.com/Sg5v9VOI7I
— 片桐仁なう (@JinKatagiri_now) February 27, 2017
モデルは元朝日新聞記者・野呂信次郎
片桐仁が演じる従軍記者・大倉憲三は、実在の人物・野呂信次郎がモデルと考えられます。
戦後の昭和23年(1948年)、学制改革により新制高校が発足すると、それまで「全国中等学校優勝野球大会」の名称で開催されていた学生野球大会が「全国高等学校野球選手権大会」(現在も続く「夏の甲子園」)と改称されることになります。
これにあわせ、主催者である朝日新聞社は改称された新大会の大会歌を企画。歌詞を全国から募集し、作曲を古関裕而(裕一のモデル人物)に依頼しています。この時、実際に古関裕而に対し作曲のオファーを送ったのが、当時朝日新聞学芸部に所属していた野呂信次郎でした。
古関裕而とは戦前から交流
野呂信次郎と古関裕而は、戦前からの旧知の仲でした。
戦時中に古関裕而が火野葦平(作家)、向井潤吉(画家)、石山慶二郎(朝日新聞東亜部の敏腕記者)らとともにインパール作戦の「特別報道班員派遣」として従軍した際、朝日新聞の記者だった野呂は現地で何かと古関の世話をしたようです。
古関裕而はビルマ・ラングーン(現在のミャンマー・ヤンゴン)に数ヶ月滞在し、現地の音楽文化に触れるとともに、戦争の恐ろしさ、悲惨さを体感しています(古関裕而自身は最前線には赴かなかったようですが、従軍記者や前線を体験した火野葦平、向井潤吉らから前線の悲惨な様子を聞いています)。
野呂信次郎は明治42年(1909年)静岡県生まれ。青山学院神学部を卒業し、朝日新聞社に入社。朝日新聞では主に音楽関係の分野を担当し、記事の執筆だけでなく合唱コンクールの運営や審査にも携わっています。
その後、武蔵野音楽大学の教授に就任。音楽評論家として少年少女世界伝記全集「フォスター」「プロコフィエフ」、幼年世界伝記全集「ベートーベン」、「世界の音楽家 少年少女のための名曲解説」「名曲と楽聖のはなし」などの著書をのこしています。
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