NHK連続テレビ小説「おちょやん」で描かれる時代設定と、ヒロイン・千代のモデル人物である女優・浪花千栄子の人生の年表、年齢などをまとめます。
明治末期生まれ、戦前から戦後を駆け抜ける女優の半生
「おちょやん」の物語は大正5年・ヒロイン9歳の時からスタートします。
ヒロイン・竹井千代は、明治末期に大阪・南河内の貧しい養鶏農家の娘として生まれ、9歳で親に捨てられ、道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出されます。
当時(大正時代前期)の道頓堀は江戸時代から続く芝居町として栄えていました。千代は女中として働く中で芝居の世界に魅了されると、やがて搾取を続ける理不尽な父から逃げるように京都へと向かいます(大正時代末期)。
千代は京都の地で女優としての第一歩を踏み出すと、やがて大阪で発足した「鶴亀喜劇劇」に参加(昭和3年頃)。喜劇界のプリンス・一平と二人三脚で戦前、戦中、戦後の激動期を駆け抜けていきます。
終戦間際には、大阪大空襲によりホームグラウンドといえる道頓堀が壊滅状態に。
終戦後に旗揚げされた「鶴亀新喜劇」に参加し看板女優となるものの、やがて退団。一時芸能界から姿を消しますが、NHKのラジオドラマに出演し華麗に復活。以後、高度経済成長期にかけて多数の映画やドラマに出演し、「大阪のお母さん」として愛される名女優になっていきます。
物語は千代の幼少期から青春期である大正〜昭和前期、苦難の戦中戦後、そして夫との決別を経て女優として花開く昭和中期ごろまでが描かれそうです。
最近の朝ドラ主人公たちと時代比較
参考までに、近作朝ドラのうち時代設定が近い作品を比較してみます。
「おちょやん」のモデル・浪花千栄子は1907年(明治40年)生まれで、1973年(昭和48年)に66歳で亡くなっています。「エール」の古関裕而、「まんぷく」の安藤百福らとほぼ同時代を生きた人物といえます。
また、吉本興業を興した「わろてんか」モデル・吉本せいは浪花千栄子より18年ほど早い生まれ。明治〜戦前を中心に活躍をしています。
浪花千栄子の人生年表、年齢
「おちょやん」ヒロインのモデル人物である女優・浪花千栄子の簡単な人生の年表、年齢をまとめます。※各出来事の年次、末尾の年齢は諸説があり、多少前後している可能性があります。
<明治時代>
1907年(明治40年)…大阪府南河内郡東板持町(現・富田林市)に生まれる=0歳
<大正時代>
1912年(大正元年)頃?…母が亡くなる=5歳
1915年(大正4年)頃?…父が再婚、道頓堀の仕出し屋「浪花料理」で女中奉公=8歳
1924年(大正13年)…父から逃れ京都へ、「カフェオリエンタル」で働く=17歳
1925年(大正14年)…「村田栄子一座」に入り、女優として舞台に立ち始める=18歳
1926年(大正15年)…東亜キネマ・等持院撮影所に所属 映画「帰ってきた英雄」出演=19歳
<昭和時代・戦前>
1929年(昭和4年)…松竹傘下「新潮劇」、「第一劇場」に参加。松竹専属女優に=22歳
1930年(昭和5年)…「松竹家庭劇」に正式加入、2代目渋谷天外と結婚=23歳
<昭和時代・戦後①>
1946年(昭和21年)…天外の劇団「すいーと・ほーむ」に参加=39歳
1948年(昭和23年)…旗揚げされた「松竹新喜劇」に参加、看板女優として活躍=41歳
1950年(昭和26年)…天外と不倫相手との間に子どもが生まれる=43歳
1951年(昭和26年)…「松竹新喜劇」を退団、天外と離婚、芸能界から一時姿を消す=44歳
<昭和時代・戦後②>
1952年(昭和27年)…NHKラジオ「アチャコ青春手帖」で復帰、人気となる=45歳
1953年(昭和28年)…映画「祇園囃子」に出演、ブルーリボン助演女優賞を受賞=46歳
1954年(昭和29年)…NHKラジオ「お父さんはお人好し」に出演、1965年まで続く長寿番組に=47歳
1955年(昭和30年)…映画「夫婦善哉」に出演=48歳
1957年(昭和32年)…映画「蜘蛛巣城」に出演=50歳
1958年(昭和33年)…映画「彼岸花」に出演=51歳
1965年(昭和40年)…自伝「水のように」出版、NHK大河ドラマ「太閤記」に出演=58歳
1970年(昭和45年)…テレビドラマ「細うで繁盛期」シリーズに出演開始=63歳
1973年(昭和48年)…消化管出血のため死去、没後に勲四等瑞宝章を受章=66歳