朝ドラ「風、薫る」小川吾郎が歌う鼻歌「埴生の宿」 歌詞の意味は?

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NHK連続テレビ小説「風、薫る」で、直美の夫・小川吾郎が家でたびたび歌っていた歌「埴生の宿(はにゅうのやど)」についてまとめます。

その歌詞内容は、短いながらも幸せな時間を過ごした吾郎と直美の夫婦生活の姿と重なります。

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目次

吾郎が台所で歌う「埴生の宿」 夫婦の幸せを象徴する歌

明治時代としては珍しく、台所に立って料理をすることが多かった直美の夫の小川吾郎(甲斐翔真)。「出征したらずっと炊事班長がいいなあ」と本人が語っていたように吾郎は料理好きであり、家事全般が大の苦手である不器用な直美とは好相性だったようです。

そんな吾郎が料理中など自宅でよく口ずさんでいたのが、イングランド民謡「埴生の宿」でした。吾郎が歌う優しく温かいメロディと歌詞が小川家に響くと、直美は安心感を覚えたことでしょう。

吾郎と直美にとってこの「埴生の宿」は夫婦のテーマ曲のようなものでした。

吾郎の出征時、直美が自宅前で見送った時にこの曲がBGMで流れていたほか、吾郎の死後、初めて誰もいない自宅に戻った直美の耳に聞こえてきたのも、「埴生の宿」をご機嫌で歌う在りし日の吾郎の声(幻聴)でした。

「埴生の宿」歌詞と意味は?

「埴生の宿」はもともとイングランド民謡で、原題は「ホーム・スイート・ホーム(楽しき我が家)」。里見義(1824 – 1886)が日本語に訳し「中等唱歌集」(1889年)に訳詞が収載されたことで広く日本人に親しまれるようになっています。

「風、薫る」で小川吾郎が亡くなったのが1895年(明治28年)ですから、ちょうど「中等唱歌集」の収載により「埴生の宿」が広く知られるようになった時期と重なります。

里見義が亡くなってからすでに100年以上が経過しており、日本語の歌詞は著作権が消失したパブリックドメインとなっていますので、以下に歌詞をまるまる転載しておきます。

(1番)
埴生の宿も わが宿
玉の装い 羨(うらや)まじ
のどかなりや 春の空
花はあるじ 鳥は友
おお わが宿よ
たのしとも たのもしや

(2番)
書(ふみ)読む窓も わが窓
瑠璃の床も 羨(うらや)まじ
清らなりや 秋の夜半(よわ)
月はあるじ むしは友
おお わが窓よ
たのしとも たのもしや

「埴生(はにゅう)」というのは、埴輪(はにわ)に使われるような粘土質の土のこと。そんな「素朴な土で造られた粗末な家」のイメージが転じて、「埴生の宿」は「我が家」「故郷の家」といったニュアンスを持ちます。

歌詞の1番に見られる「玉の装い 羨まじ」は、宝石で飾られた豪邸なんて少しも羨ましくない、という意味。※「羨まじ」は形容詞「羨まし」に打ち消しの推量・意志の助動詞「じ」が付いたもの。

春には花が家の主のように咲き誇り、鳥が友のようにさえずる。そんな素朴や我が家こそが楽しく、心安らぐ場所だと歌っています。

続く2番も似た構成です。

「豪華な瑠璃の床」など少しも羨ましくなく、自分がいつも本を読む窓辺がよい。

静かで清らかな秋の夜には月が主となり、虫の声が友になる。そんな我が家の窓辺こそが、自分が楽しく幸せで居られる居場所なのだ、と歌っています。

直美との素朴な生活を愛した吾郎

こうした歌詞の意味を知ると、直美との素朴な生活を心から愛していた吾郎の心が読み取れます。

自らの利益よりも苦しんでいる人々のための看護に自らの人生を捧げてきた直美。そんな直美の生き様に惚れ込んでいた吾郎ですから、そもそも豪華な生活には興味がなく、ただ直美がそばに居てくれるだけで幸せだったのでしょう。

陸軍軍人だった吾郎ですが、直美が心配するほど戦争には不向きな優しい性格でした。国家のいざこざや戦争よりも、毎日の食事を作り家族が楽しく暮らす「ホーム・スイート・ホーム(楽しき我が家)」を吾郎は愛していたのです。

朝ドラでも「埴生の宿」がたびたび登場 「マッサン」エリーも歌う

この「埴生の宿」は美しいメロディと優しい歌詞により国民的唱歌となり、今も広く愛され続けています。

小説、映画「ビルマの竪琴」では、日本兵と敵兵が敵味方なくともに「埴生の宿」を歌う象徴的なシーンがあるほか、映画「二十四の瞳」にも「埴生の宿」が登場。数々の名作で印象的に歌われたこともあり、「埴生の宿」は愛唱歌としてより強く日本人の心に定着しているようです。

NHK連続テレビ小説(朝ドラ)でも「純ちゃんの応援歌」「純情きらり」「ゲゲゲの女房」「マッサン」「おちょやん」などで「埴生の宿」が使われています。

つい最近まで再放送が行われていた「マッサン」(玉山鉄二主演)では、夫のマッサンと喧嘩した直後のエリーが「埴生の宿」、続けて英語版の「Home! Sweet Home!」を歌っています。スコットランドから遠く日本に来たエリーの心情をよく表した場面ですね。「マッサン」のサントラにもエリーを演じたシャーロット・ケイト・フォックス本人歌唱による「Home, Sweet Home(埴生の宿)~エリーVer.~」が収録されています。

朝ドラは明治、大正から昭和の戦前の時代を作品も多く、当時の人々に愛された「埴生の宿」は定番曲としてしばしば登場しています。

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