NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」で、ヒロイン・すみれの父・坂東五十八が営む繊維会社として登場する「坂東営業部(ばんどうえいぎょうぶ)」。
この記事では「坂東営業部」についてまとめるとともに、そのモデルとなっている企業「佐々木営業部=現在のレナウン」についてもまとめます。
「坂東営業部」の令嬢・すみれ
「べっぴんさん」のヒロイン・坂東すみれ(芳根京子)は、「あさが来た」の今井あさ(波瑠)に続き、バリバリの「お嬢様育ち」です。
すみれの父・坂東五十八(生瀬勝久)は近江商人の次男として生まれ、天性の商才を持っています。五十八は妻・はな(菅野美穂)とともに近江の布を大阪に卸し、一代で繊維会社「坂東営業部」を築き上げ、大きな財を得ています。
坂東営業部は、布を仕入れてただ売るという昔ながらの繊維卸売業だけではなく、職人抱えて東京の工場で自社製品を売る(「オライオン=ORION」というブランド名)などし、成功を収めました。現在では靴下、タオル、香水、カミソリ、高級肌着などの輸入雑貨も扱い、経営は盤石。
「坂東営業部」という部署名のような会社名は、「部署のようにどんどん会社を増やして発展させていきたいという想いをこめてつけた」とのことで、その願い通り、会社は着実に規模を拡大しています。
すみれは父の成功の恩恵を受け、豪華絢爛なお屋敷で不自由無く育ちました。坂東家には番頭の野上正蔵(名倉潤)や、執事の井口忠一郎(曾我廼家文童)、女中の佐藤喜代(宮田圭子)など多くの大人が出入りし、すみれも商家の空気を身近に感じながら育ったといえます。
「坂東営業部」は「佐々木営業部」がモデル
この「坂東営業部」ですが、実在した大阪の繊維卸売業者「佐々木営業部」がモデルになっています。
「佐々木営業部」は、坂野惇子(すみれのモデル)の父・佐々木八十八(=ささき・やそはち)が1902年(明治35年)に大阪で創業した会社です。
佐々木八十八は11代に渡る豪商・佐々木家に生まれると、輸入販売を志し27歳の時に大阪で衣料品と繊維卸売を扱う「佐々木営業部(佐々木商会)」を設立。その後、繊維製品の製造も行なうようになり、1923年(大正12年)からその商標として「レナウン」を用い始めます。
「レナウン」命名の由来は
「レナウン」の名は、その前年の1922年(大正11年)に訪日した英国皇太子(後のウィンザー公)が乗っていた巡洋艦、戦艦の名前が由来です(その大きさ、迫力は世界の度肝を抜いた)。
レナウン=RENOWNは「名声、栄光」といった意味を有し、当時繊維産業の先進国であった英国にあやかっての命名だとされます。
一部上場企業「株式会社レナウン」
戦後、尾上清の会社再興などを経て、1955年に「佐々木営業部」は「レナウン商事株式会社」に社名変更し、グループ会社として発展していた「レナウン工業株式会社」(製造部門)との合併、関連各社との再編などを繰り返し、東証一部上場企業「株式会社レナウン」(東京都江東区に本社を置くアパレル企業。平成28年売上高712億円、従業員数1,247名)となっています。
※現在は中国の繊維会社大手「山東如意グループ(山東省)」の連結子会社。
坂野惇子は、八十八が住居を神戸の別宅に移した後の1918年(大正7年)に佐々木家三女として生まれており、「佐々木営業部」の令嬢として、過保護ともいえる父の愛情を受けて育っています。
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