NHK連続テレビ小説「ブラッサム」で、珠が女学校の同級生たちとつくることになる文学の同人誌『黎明(れいめい)』。後に作家の道に進む珠にとって、この『黎明』での創作活動は大きな意味を持つことになります。
珠のモデル人物の宇野千代は女学校時代に同級生たちと『海潮音(かいちょうおん)』という同人誌を作成しており、この史実がもとになったエピソードと考えられます。
【ブラッサム】女学校の仲良し4人組で同人誌『黎明』を創刊
▼珠に文学の道を開いてくれる同級生たち。特にリーダー格の忍(一番左)は女学校卒業後も登場し、珠の人生を後押ししていきます。
珠が通うことになる女学校の級友、角田忍(#木竜麻生 さん)、森岡稲子(#華優希 さん)、橋本タエ(#中井千聖 さん)。 彼女達と紡ぐ日々が、珠の作家としての人生に繋がっていきます。
— 朝ドラ「ブラッサム」公式 (@asadora_bk_nhk) September 9, 2026
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山口第二高等女学校に通っている葉野珠(石橋静河)は、仲の良い同級生の角田忍(木竜麻生)、森岡稲子(華優希)、橋本タエ(中井千聖)らと放課後の図書室に集まっていました。
最近縁談が来たという忍は、まだ結婚をしたくないという自分の意見を親に聞き入れてもらえなかったことが悔しいようです。
忍は愛読する文芸誌『青鞜(せいとう)』を取り出し平塚らいてうの「元始、女性は実に太陽であった〜」の名文を読み上げると、4人で同人誌を作ろうと発案します。
「ウチにも意思がある。同人誌の中でだけ、好きに表現するぐらいええじゃろ」
誰が何を書いてもいいという忍の言葉に、大好きな小説を書きたいという気持ちが湧き上がる珠でしたが、気難しい父・清治(渡部篤郎)のことが頭に浮かび口ごもってしまいます。
「珠ちゃんが書かんのはありえんわ、いちばんの文芸少女じゃろ」(タエ)
「珠、あんたなら書ける」(忍)
仲間たちの後押しを受けて、珠は大好きな小説『イワンの馬鹿』をモチーフに継母・リョウ(国仲涼子)の姿を重ねた小説『やさしいアンナ』を書き上げます。
短歌や女性に関する論文など、4人が思い思いに書いた文章をまとめた同人誌は『黎明』と命名されます。
女子たちの思い思いの言葉をのせた『黎明』は同級生の間で評判となりますが、4人は校長室から呼び出しを食らってしまい…。
▼朝ドラにたびたび登場する平塚らいてうと『青鞜』。
▼学校側に同人誌『黎明』を潰され、忍が仲間たちに悔しさを吐露した近所の神社のロケ地は?
【史実モデル】宇野千代が女学校時代に参加した同人誌『海潮音』
珠が表現をすること、それを誰かに伝えることの楽しさを知っていく同人誌創作のエピソード。
宇野千代(珠のモデル人物)の自伝的小説『生きて行く私』には、岩国高等女学校(現・山口県立岩国高等学校)時代に同級生の仲間たちと『海潮音(かいちょうおん)』というゲラ刷りの同人誌を創作した思い出が語られています。
※これより数年前、詩人で翻訳家の上田敏が『海潮音』というヨーロッパの印象派詩人の訳詩集を出版していますので、同人誌『海潮音』のタイトルはこれにあやかったものかも知れません。
女学校在学中に「校友会雑誌」に作文(「秋の山に遊ぶ」「秋の夕」「櫻」「雨來らむとす」)が複数回掲載されるなど、当時からすでに文才を見せていた千代。学校には同じ文学好きの良き仲間がいたようです。
文学好きの同級生5人と創作した『海潮音』の詳しい内容については『生きて行く私』では触れられていませんが、この仲間たちと撮影した一枚の写真に関するエピソードが語られています。
宇野千代が後年まで大切に保管していた若い頃の写真の中にある、女学校の仲間5人による少し奇妙な写真。
田舎町の仲良し5人組がわざわざ写真館に集まり、「びっくり仰天するような」思い思いの格好とポーズ(京都の三高生を模した男装の麗人、丸みのある可愛い桃割れの髪型など)で写真に収まっています。
宇野千代は、女学生がこんな大胆不敵な格好で写真を撮れば退校になると恐れおののきつつも、一種の反抗心のようなものがあったと当時を振り返って語っています。
「私は突然、今日のような小説家になったのではない(中略)この五人の仲間たちとの廻り合わせを経て、それから、たくさんの、たくさんの廻り合わせを経て、やっと辿り着いた道なのだ」(宇野千代『生きて行く私』より)
宇野千代は作家、着物デザイナー、実業家など多才を発揮して人生を大きく輝かせていますが、学生時代の仲間たちと過ごした日々が作家としての成功の原点だったようです。
【ブラッサム】写真撮影のエピソードが登場
「ブラッサム」のストーリーにも、宇野千代が仲間たちと体験した写真撮影のエピソードが転用されそうです。
『黎明』が思わぬ好評を呼びすっかり気を良くした四人組は、二冊目を作ろうと盛り上がります。
「著者の紹介として『黎明』の表紙を飾るんよ。思い思いの格好で、自由に!」
先導役の忍が4人による表紙写真の撮影を提案し、テンションも最高潮となる4人でしたが、写真を撮る前に校長室から呼び出しを食らってしまいます。
良妻賢母を教育の柱とする山口第二高等女学校では、それに反するような意見を表現する『黎明』の内容は看過できないようです。4人は教頭から退学をちらつかせながらの説教を受けてしまい…。
退学の恐怖を感じながらも実行した、宇野千代と仲間たちの写真撮影のエピソード。「ブラッサム」では学校側からの圧力を受けて、写真撮影の予定が一度はストップしてしまいそうです。

