NHK連続テレビ小説「ブギウギ」10月19日(木)放送の第14回より。
梅丸本社に楽団員解雇の撤回と待遇改善の嘆願書を提出したUSKの楽団員。これに対し梅丸は個別に楽団員を訪ねて一時金の支払いを提示し、切り崩し工作を見せています。
この記事では、スズ子にも提示された一時金支払いの契約書に書かれていた内容を書き出してみます。
「はな湯」を訪ねる梅丸社員の男 一時金の支払いを提示
林部長(橋本じゅん)を通して、梅丸本社に一部楽団員の解雇の撤回や待遇の改善を求める嘆願書を提出した大和礼子(蒼井優)ら梅丸少女歌劇団(USK)の楽団員たち。
しかし百戦錬磨の梅丸の経営陣がこれをすんなり受け入れるはずもなく、梅丸側は各楽団員たちを個別に訪ねて切り崩し工作を行うことになります。
「はな湯」にも梅丸社員の男(浅雛拓)がやって来ると、スズ子(趣里)に対し一時金を支払うという解決策を提示。その条件として、一連の労働争議から手を引くことを要求してきます。
男が提示した一時金支払いに関する契約書は以下の通り。内容を書き出してみます。
「一時金支払い契約書」内容書き出し
契約書
梅丸株式会社(甲)と契約者(乙)は左記各項承諾の上、雇用契約を更新する。
一、適用期間
昭和八年五月一日から(適用期間の定めなし)
一、契約更新
契約期間満了日の三箇月前迄に、甲乙何れからも申し出のない場合、本契約と同一の条件で六箇月更新するものとし、以後も同様とする。
一、給与
労働者が雇用主に労働することを約束し、雇用主が労働者に報酬を払うことを約束する。又、一時金として、給料の三箇月分を支給する。
一、契約内容
雇用期間、就業場所、就業時間、休日、賃金等労働条件は、本契約に定める他、労働条件通知書及び就業規則に定める処に依るものとする。労働条件通知書は、当該労働者の労働条件の決定について権限をもつ者が作成し、本人に交付する。
従業員は、今回の問題に関し、興行中休演し、一般観客及び用に対し多大の迷惑を及ぼしたることを謝す又、従業員は嘆願書を撤回す。
本契約に輪?して、知り得た情報の一切を漏洩させてはならない。本契約に定めのない事項は、甲乙協議の上、別途定めるものとする。
本契約の成立を證して、本書弐通を作成し、甲乙各?壹通を保有する。
甲 梅丸株式会社
この契約書の要点をざっと書き出してみると、以下のような感じでしょうか。
①一時金は給料の3ヶ月分。※すでに給料は以前の3分の2に減額済み。
②就業環境や休日、賃金等を定める「労働条件通知書」はあくまで「労働条件の決定について権限をもつ者(梅丸側?)」が作成し、その後に雇用者に通達する(異論は受け付けない)。
③今回の騒動に関して(会社側に)謝罪を行った上で、嘆願書を撤回する。
④この契約に関して知り得た情報は、一切漏洩させない(口止め)。
要するに、給料3ヶ月分の一時金を支払うかわりにすべて会社側の言い分を受け入れろ、余計なことは言うな、ということですね。
▼スズ子が入団した当時(桃色争議の6年前の昭和2年)となりますが、USK新人のお給料は月20円。これは当時の製紙女工とほぼ同額、小学校教員の初任給の半額程度の額です。折からの不況により給料が3分の2に減らされていますので、一家の家計を支えている桜庭和希などはかなり苦しいはずです。
激怒して契約書を突っぱねるスズ子
「福来さんはこれからの梅丸を背負っていく人」であり「しょうもないことで衝突したないんです」と語りながら、横柄に契約書へのサインと一時金の受け取りを求めてくる梅丸社員の男。
「一時金って、全員もらえますよね」と質問するスズ子に対し男が「労働争議をやめてくれた人には」と答えると、ついにスズ子の堪忍袋の緒が切れてしまいます。
「そんなお金あるんやったら、(桜庭)和希ちゃんにあげたってください。(解雇された)新人にも少しは払って連れ戻したってください。」
USKへの強い愛を語り、USKの梅丸本社への貢献も主張するスズ子ですが、社員の男は聞く耳を持たず。結局交渉は決裂してしまいます。
一時金支払いのお誘いは秋山美月(伊原六花)やリリー白川(清水くるみ)ら主要楽団員のもとにも来たようです。
秋山「一時金が出せるんやったら少しでも分配すればええのに!」
リリー「ウチにも来たで!少な過ぎてすぐに断ったけど」
主要楽団員が会社のやり方に憤慨してますます結束を深める一方で、専属ピアニストの股野(森永悠希)はあっさり一時金を受け取ってしまったらしく…。