NHK連続テレビ小説「ブギウギ」より。第6週以降、身体の不調(腰痛)が見られて始めているスズ子の母・花田ツヤの今後についてわかっている範囲でまとめます。
ツヤのモデルである笠置シヅ子の養母・亀井うめは早くに亡くなっていますので、その死因や病気の内容などをまとめます。ネタバレとなる要素も含まれますのでご注意ください。
【ブギウギ】番台に立てずに布団に… 腰痛が続くツヤ
物語序盤からチャキチャキとした姿を見せてきたスズ子の母・ツヤ(水川あさみ)ですが、第6週の終盤で風邪と思われる症状で寝込むなど、スズ子が上京した後に少しずつ体調不良の日々が増えているようです。
第7週ではすっかり風邪も治り、番頭に立つツヤの元気な姿が描かれています。しかし六郎(黒崎煌代)からの手紙によれば、最近のツヤは腰痛が続き、あん摩が得意な常連客のアサ(楠見薫)に腰をもんでもらっているのだとか。
かかりつけ医の熱々先生(妹尾和夫)もツヤが何か重大な病気にかかっているかもしれないと疑っており、ツヤは検査入院の必要に迫られているようです。
何やら悪い予感を感じさせる最近のツヤの体調ですが、第8週(11月20日〜)に入るとツヤの身体に大きな異変が発生しそうです。
1939年の秋に入るとツヤは体調が急速に悪化し、床に伏せるようになっていきます。同時期に六郎に赤紙が届いて出征してしまうことも、ツヤの心労になってしまうかも知れません。
ツヤを診た熱々先生は、もはや手の施しようがない状態(末期ガン)になっていることを梅吉(柳葉敏郎)に伝えて…。
▼ツヤの入院費の工面がキッカケとなり勃発した、スズ子の「日宝」移籍騒動。史実でも養母・うめの治療費が「笠置シヅ子・東宝移籍騒動」の引き金となっています。
【史実】早くに亡くなった養母・うめ 死因は胃がん、心臓病か
花田ツヤのモデルとなっている笠置シヅ子の養母・亀井うめは、笠置シヅ子が上京してからわずか一年半後に胃がんと心臓病で亡くなったとされます。
当時のシヅ子はまだ25歳でしたので、早くに(養)母を亡くしたということになりますね。
※大阪の亀井家で育った笠置シヅ子は、17歳のときに香川・三谷家の法事に出席し、実の父母(三谷陳平・谷口鳴尾)の存在を知っています。シヅ子は法事の後に実母の谷口鳴尾とも面会していますが、そのことは養父母(亀井音吉、うめ)には決して言わずに内緒のまま。それ以降は養父母のことをより大切に思って生きたそうです。
愛情深く東京に送り出してくれた養母・うめ わずか1年半後に…
1938年(昭和13年)4月。笠置シヅ子は大阪松竹少女歌劇団(OSSK)を退団し、東京で旗揚げされる松竹楽劇団(SGD)に参加するために上京をしています。
シヅ子が上京する際、母のうめは梅田駅に見送りに来てくれた人たちに黒紋付の羽織姿で挨拶をして回ってくれたそうで、その張り切りぶりがシヅ子に対する愛情を物語っています。
この時は元気に見えたうめですが、上京翌年の1939年(昭和14年)になると病床に伏すようになってしまいます。
上京後に「スイングの女王」として人気になっていたシヅ子は、母の治療費の捻出のために好条件を提示してきた東宝の引き抜きに一度は応じてしまい、松竹との間で大騒動になっています。※結局シヅ子は服部良一の取り計らいで松竹に戻っています。
そんなシヅ子の思いも届かず、うめは1939年9月11日に胃がんと心臓病により死去。シヅ子はうめの死に目に会えなかったことを後々まで嘆いていたとも伝わります。
残された養父・音吉を東京に引き取ったシヅ子
うめの早すぎる死は、賑やかだった亀井家に大きな影を落としていきます。
この前年(1938年1月)にはシヅ子の愛弟・八郎が丸亀連隊に入営していたため、シヅ子は大阪に一人残されてしまった養父・音吉を東京・三軒茶屋の借家に引き取っています。
当時まだ還暦前だった音吉ですが、愛妻を失ったことですっかり働く意欲をなくしてしまっていたようです(音吉はもとより甲斐性なしの遊び人でしたが…)。
さらに悪いことに、1941年には八郎が仏領インドシナ沖で戦死。音吉・うめ夫妻の実子の生き残りは八郎だけでしたので(兄二人は早世)、音吉は養子のシヅ子だけが頼りとなっています。※その後東京大空襲で三軒茶屋の家が焼けたため、音吉はひとり故郷の香川に帰っています。
戦後の1952年(昭和27年)、シヅ子はうめの故郷である香川・引田の萬生寺に二基の墓(うめと八郎の墓。後に音吉もこの墓に入った)を建て、愛する家族を弔っています。
「ブギウギ」でも、愛妻のツヤを亡くして失意のどん底にいる梅吉をスズ子が東京に呼び寄せる展開がありそうです。
「ツヤちゃん」のことをあれだけ愛して頼りにしていた梅吉ですから、ツヤを失ってしまったショックは大きく、自暴自棄の人生を歩んでいきそうです。酒に溺れてしまうダメ父・梅吉をスズ子が救えるのか、今後の展開が注目されます。
▼笠置シヅ子の愛する家族が眠る香川県東かがわ市引田の萬生寺(まんしょうじ)。