NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」5月13日(金)の第25回で歌子(上白石萌歌)が歌った沖縄民謡「芭蕉布(ばしょうふ)」についてまとめます。
劇中では歌子を演じている上白石萌歌が次々に沖縄民謡などを披露。この「芭蕉布」は特に印象的なものとしてドラマにたびたび登場していきます。
下地先生から楽譜を渡されて歌った「芭蕉布」
5月13日の放送では、卒業と上京が迫る暢子(黒島結菜)の沖縄での日々が描かれています。そんな中で印象的だったのが、歌子(上白石萌歌)が歌った沖縄歌謡「芭蕉布(ばしょうふ)」でした。
音楽室で下地先生(片桐はいり)から「この歌、歌ってみて」と言われ、「芭蕉布」の歌詞が書かれた原稿を手渡された歌子。
これからは三線を弾くのに男も女も関係ない、音楽にちむどんどんするかしないか、それだけさーというメッセージを下地先生から受け取った歌子は、沖縄の海と空の青さやバショウ(植物)の風景を歌った「芭蕉布」を美しく歌い上げています。
また、暢子が上京する前日の夜に、歌子が弾き語る「芭蕉布」を家族4人で歌う姿が描かれるなど、「芭蕉布」は大切な歌として劇中でたびたび歌われていきます。「唐船ドーイ」「てぃんさぐぬ花」などとともに、印象的な曲ですね。
夏川りみも歌う 沖縄歌謡「芭蕉布」
芭蕉布(ばしょうふ)は、吉川安一作詞、普久原恒男作曲により1965年に発表された、比較的新しい沖縄歌謡です。沖縄を代表する歌手の一人、夏川りみも「芭蕉布」を歌っていますね。
表題となっている「芭蕉布」とは、沖縄の特産品である高級反物「芭蕉布」(バショウ科の多年草・イトバショウから採取した繊維で織られる高級で希少な布織物)を意味します。
琉球王国では王宮が管理する大規模な芭蕉園で芭蕉が生産され、明や薩摩藩への貢納品にも含まれるなど、芭蕉布は500年の歴史を持つとされます。
戦争で一度は途絶えたという芭蕉布の技法ですが、戦後に人間国宝・平良敏子さんの尽力により復興され、1974年には沖縄県大宜味村喜如嘉の芭蕉布が「重要無形文化財」に指定されたそうです。栽培から完成まで根気のいる手作業、手工業で作られるため、なかなか手に入れることが出来ない希少な高級布織物となっています。
歌謡曲「芭蕉布」の歌詞では、沖縄の海と空の青さ、バショウの緑葉が美しく揺れる風景の美しさ、そして古の琉球の姿を今に伝える首里城のたたずまいなど、沖縄島の美しさが歌われています。
故郷・沖縄を離れる暢子、そして恩師である下地先生と離れ離れになる歌子にとって、「芭蕉布」の美しい歌詞は心に響くものになったことでしょう。
▼「芭蕉布」をはじめ、数々の沖縄民謡、童謡などが登場する「ちむどんどん」。劇中で登場した歌などを記事にまとめています。