【まれのケーキ】「レ・キャトル・サン・クー」の意味 トリュフォー映画「大人は判ってくれない」

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NHK連続テレビ小説「まれ」2015年6月21日(月)放送回より。希(土屋太鳳)が「マシェリシュシュ」で初めて挑戦したケーキ「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」が、「レ・キャトル・サン・クー」と名前を改め店頭に並ぶことになりました。

この記事では、希が初めてつくったケーキ「レ・キャトル・サン・クー」の名前の意味、由来についてまとめます。

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目次

大人の味「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」

希のパティシエとしての資質に少しずつ気が付き始めていた池畑大悟(小日向文世)は、「大人のケーキ」である「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」(Je t’aime… moi non plus)づくりの一切を希に任せます。

大人の官能的な恋を歌ったシャンソン「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」から命名されたこのケーキですが、ろくに恋をしたことがない希にとって、このケーキに込められた意味を読み解くのは至難のわざ。希は研究を重ね、自分なりの「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」を完成させ、大悟に味見をしてもらいます。

▼シャンソン「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」も収録されたジェーン・バーキンのベスト盤。

「小学生の恋」「レ・キャトル・サン・クー」

希の「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」を食べた大悟は一言、「小学生の恋だな」とバッサリ。しかしケーキの出来自体には及第点を与えたようで、半額の300円で店頭に出してよいとのこと。希のケーキは新たに「レ・キャトル・サン・クー(Les Quatre Cents Coups)」と名付けられ、店頭に並ぶこととなります。

「レ・キャトル・サン・クー」の意味 トリュフォー映画

「レ・キャトル・サン・クー」とは、1959年のフランス映画のタイトル。フランソワ・トリュフォー監督の最初の長編映画です。原題「Les Quatre Cents Coups」の意味は「400回の殴打、大騒ぎ」といった意味で、日本では「大人は判ってくれない」という意訳された邦題で知られますね。

▼「レ・キャトル・サン・クー」は1959年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。トリュフォーは一躍「ヌーヴェルヴァーグの騎手」として時代の寵児に。

「大人は判ってくれない」はトリュフォー監督の幼年時代をもとにした自伝的な映画です。12歳の主人公アントワーヌ・ドワネルは、家庭や学校生活の中で次々に周囲の大人たちに打ちのめされ、尊厳を踏みにじられます。周囲から「不良少年」として扱われるアントワーヌは、鬱屈の末に家出、窃盗を行い、ついには鑑別所からの脱走を図ります。脱出したアントワーヌはひたすら海へと走っていき…。

フランスにおいて400回とは「とても多い」ことを表す表現です。日本でいえば「九十九里」「千本ノック」といったところでしょうか。「400回の殴打、大騒ぎ」は、文字通り少年アントワーヌが心に受け続けた打撃や、次々に降り掛かる出来事の数々を表したものでしょう。

池畑大悟が「レ・キャトル・サン・クー」の意味をどこまで理解してケーキ名に採用したのかはわかりませんが、夢中でケーキをつくる希の中に、少年のような心持ちを見出したのかも知れません。

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