NHK連続テレビ小説「なつぞら」でヒロイン・奥原なつが製作に携わった漫画映画(アニメーション)作品と、各作品のモデルとなっている思われる作品についてもまとめます。
また、劇中に登場した実在のアニメーション作品もまとめます。
・長編漫画映画「白蛇姫」(仕上げ担当)…1957年完成
東洋動画の記念すべき第1作目の長編アニメーションで、なつが東洋動画に入社して最初に携わった作品でもある。当時のなつは「仕上課」に配属されており、モモッチとともに彩色などを担当。なつが練習用に描いた白娘(ぱいにゃん)の悲しみの表情のラフスケッチ(動画)がマコの目に止まり、堀内の手によるクリーンナップを経て作品に採用されている。
▶「白蛇姫」は、東映動画による日本初のカラー長編アニメ映画「白蛇伝」(1958年公開)がモデルと考えられる。詳しくは以下のリンク先記事にまとめています。
・長編漫画映画「わんぱく牛若丸」(動画担当)…1958年完成
「白蛇姫」に続いて行われた長編アニメーション「わんぱく牛若丸」。子供が楽しめる良質なアニメーション作品として大ヒットを記録している。
晴れてアニメーター試験に合格し作画課に異動したなつは、動画担当スタッフとして参加。下山班に所属し、アニメ作りのイロハを学んだ。なつはこの作品で演出助手を務めていた坂場と出会っている。
▶1959年公開の東映動画第2作長編漫画映画「少年猿飛佐助」あたりがモチーフか?
・短編漫画映画「ヘンゼルとグレーテル」(原画担当)…1959年制作
なつが初めて原画を担当した短編漫画映画「ヘンゼルとグレーテル」。同じく原画にマコと神地が、演出部からも坂場が参加し、若手が中心となって企画が推進された。夕見子の「あんたら兄弟、ヘンゼルとグレーテルみたい」という何気ない一言を聞いたなつが閃き、会議でアニメ化を提案している。
あえて脚本家を立てないという坂場の方針により現場は混乱したが、紆余曲折の末に原作を大幅に改変した斬新な「ヘンゼルとグレーテル」が完成。この作品での激論を通し、坂場となつは急接近している。
・テレビアニメ「百獣の王子サム」(原画担当)…1963年放映開始
鉄腕アトムの人気を受けて「テレビ班」を立ち上げた東洋動画の最初のテレビアニメ作品「百獣の王子サム」。ジャングルでライオンに育てられた少年・サムの物語。なつが原画、茜が動画、坂場が演出担当に任命され、テレビ班に異動している。
なつや坂場らはこれまでの映画表現と異なる簡略化された制作方法に戸惑いを覚えるが、テレビ放映開始とともに「百獣の王子サム」は大人気に。遠く北海道の柴田家の茶の間にもリアルタイムで放送が届けられた。
▶モデル作品は、1963年に放映が開始された東映動画初のテレビアニメ作品「狼少年ケン」か。詳しくは以下のリンク先記事にまとめています。
・【なつぞら】テレビアニメ「百獣の王子サム」 モデルは「狼少年ケン」か
・長編漫画映画「神をつかんだ少年クリフ」…1965年(昭和40年)製作開始
坂場にとって長編漫画映画での演出デビューとなった作品「神をつかんだ少年クリフ」。テレビアニメの制作に物足りなさを感じていた坂場はこの作品でこだわりの限りを尽くし、難解ながらも良質な作品を作り上げている。
しかし子供たちの反応は悪く興行収入は低迷し、坂場は不振の責任をとって東洋動画を退職することに。映画の成功を条件としていたなつとの結婚話も一時白紙状態に。
▶モデル作品は、高畑勲の初長編監督作品「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968年公開)か。
・テレビアニメ「魔法少女アニー」…1967年(昭和42年)頃に製作
新婚生活を開始したなつが任されるテレビアニメ。魔法の合言葉「キラキラバンバン キラキラアニー!」が少女たちの間で流行する。
・テレビアニメ「三代目カポネ」…1967年(昭和43年)頃に製作
立ち上がったマコプロダクションで手がけられるギャング物の大人向けアニメ。下山が中心となりキャラクターデザインなどが行われる。Aプロダクションで製作された「ルパン三世 第1シリーズ」がモデルか。
今後登場予定のアニメ作品
・「キックジャガー」
出産を経たなつが、子育てに奔走しながら作画監督を担当するテレビアニメ。
・【スカーレット】キックボクサー・サワムラ 「キックの鬼」沢村忠がモデルか
・「魔界の番長」
なつが作画監督を引き受ける、暴力的な内容を含むアニメ。なつは、十勝の番長・門倉を主人公の参考にしていた?
・「大草原の少女ソラ」
帰国したマコが立ち上げ、坂場、下山、神地、モモッチらが合流することになる「マコプロダクション」が制作するアニメ。このアニメにより、なつはある人物と「運命の再会」を果たすことになる。
・【なつぞら】「大草原の少女ソラ」は「草原の少女ローラ」(大草原の小さな家)、「ハイジ」がモデルか
・「夏空」
最終回で登場の可能性。奥原三兄妹の戦争での体験をアニメ映画化したいと坂場が熱望し、後年に実現する作品。「火垂るの墓」がモデル?
・【なつぞら】アニメ映画「夏空」 ジブリ「火垂るの墓」がモデル?
劇中に登場した実在のアニメ作品
・「ポパイ アリ・ババと40人の盗賊」
幼少期のなつが学校の映画鑑賞会で出会ったカラーアニメーション作品。巨匠・フライシャー兄弟の金字塔的作品で、なつはすっかり漫画映画に心を奪われてしまう。
・【なつぞら】映画会のアニメ「ポパイのアリババ退治」 巨匠・フライシャー兄弟の作品
・「ファンタジア」
18歳だったなつと天陽が初めての「デート」で見に行ったディズニー・アニメーション作品。この映画の上映後に大杉満社長率いる東洋映画の人材募集CMが流れる。
・「鉄腕アトム」
東洋動画が「テレビ班」を作るキッカケになった作品として、劇中に実名で登場。