NHK連続テレビ小説「スカーレット」第2週で、草間宗一郎が川原家にやってきた借金取りに対し1,000円を支払って立て替えるというシーンがあります。
この当時の1,000円、そして常治が「意地」で受け取らなかった20円が現在のいくらくらいに相当するのか、物価・金銭感覚をまとめてみます。
草間が千円を建て替える
川原家が信楽にやってきて初めての冬のこと(昭和22年末)。川原家に押し寄せた借金取りの工藤と本木に対し、居合わせた草間は1,000円を支払い、騒動を収めています。
遅れて帰ってきた常治はクシャクシャの紙幣をかき集めて草間に1,000円を返そうとしますが、あと120円足りません。そこで草間は今晩泊めてもらう宿代を100円、残りの20円を常治に対する恩義の気持ちとして受け取って欲しいと提案しますが、常治は「男の意地」で20円は受け取れないと言い出し…。
昭和22年当時の物価、貨幣価値は?
明治33年を1.00とした消費者物価指数は、昭和21年が99.5、昭和22年が224.1、昭和23年が394.3と戦後に急上昇をしています。
現在(平成末期〜令和初期)とほぼ同水準である平成15年の同消費者物価指数は3844.4であり、昭和22年の17.16倍、昭和23年の9.75倍となっています。
つまり、消費者物価指数から単純計算で考えると、昭和22年に草間が建て替えた1,000円は、現在の価値でおおよそ17,160円ということになります。翌昭和23年にかけて物価指数がさらに急上昇していることを考慮すると、昭和22年末の時点での1,000円は現在の10,000円〜15,000円程度に相当することになるでしょうか。
ただし、当時の物価感覚では1,000円はもっと価値のある金額だったと考えられます。
当時の物の値段 物価感覚
消費者物価指数だけだと実際の物価の感覚が掴みづらいので、昭和22年〜昭和23年当時の物の値段をざっとピックアップしてみます。
・小学校教員初任給(東京)…2,000円(昭和23年)
・公務員初任給(東京)…2,300円(昭和23年1月)・東京大学授業料(初年度1年分)…600円(昭和22年)、1,200円(昭和23年)
・早稲田大学授業料(文科・1年分)…2,100円(昭和22年9月)、2,800円(昭和23年)・下宿料金(東京本郷4〜6畳・3食付)…1,500円(昭和22年)、2,000円(昭和23年)
・ランドセル…120円(昭和22年)、700円(昭和23年)
・男の理髪料(東京)…10円(昭和22年)、25円(昭和23年)・国鉄 山手線の初乗り運賃…50銭〜1銭(昭和22年)、3円(昭和23年)
・国鉄 東京大阪間運賃…15円5銭(昭和22年、23年)
1,000円は東大に1年間通える金額
これを見ると、草間が建て替えた1,000円は当時の教員初任給(月額)の半分くらいにあたり、東京大学に一年間通える額でもあります。また、ランドセルが数個買えて、床屋に100回くらい通えて、汽車で大阪から東京に64回(片道)行ける額ということになります。
常治が受け取りを拒否した「20円」も、大阪から東京に1回行ってお釣りが出る額ですね(喜美子は、20円あれば卵がいっぱい買えるのに…とガッカリ)。
以上からも、草間が建て替えた1,000円は決して安い金額ではなく、草間の懐の深さ、常治への感謝の気持ちが感じられます。
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